1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62611522
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
向井 正 金沢工業大学, 工学部, 教授 (10097412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 苑生 金沢大学, 工学部, 教授 (00097411)
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Keywords | 彗星 / 氷塵 / 惑星間探査 |
Research Abstract |
1.ハレー彗星の観測から得られた可視波長域における偏光量(塵の散乱特性を反映)と, 赤外波長域でのエネルギーフペクトル(塵の熱放射特性)を共に説明する塵モデルから, 塵物質の光学定数を推定した. それによると, 塵はシリケイトと, 可視域で光を強く吸収する物質との混合物からできていることが判った. 特に可視域での屈折率1.4, 吸収係数0.04という値は有機物質の存在を示唆する. 今後は, 偏光量が負となる後方散乱領域での観測結果を説明するために, 塵の不規則形状を取り入れた光散乱過程の検討を進める, と共に, シリケイトの熱放射特性(波長10μm)の時間・空間変動を解析し, シリケイト塵の粒径分布・他成分との存在比等を考慮した彗星モデルを作成する. 2.太陽から遠く離れた(greater than or similar 3AU)地点で彗星から放出された塵は、揮発物質の氷を主成分とし、その内部にシリケイトや可視光の吸収体が不純物として混在する。彗星塵の直接探査に際しては、氷成分の捕獲可能性について検討する必要がある。そのため、昇華作用を取り入れた不均質氷塵の振舞を調べた。それによると、太陽から3AU以上離れた遠方において、彗星中心核を放れた氷塵のうち、半径が10μmを越える比較的大きな塵は、彗星大気中で探査可能な領域(中心核から100Kmの距離)まで生き残ることが判った。ところが、昇華作用は、太陽に近づくにつれて急激に増加するために、3AUより内側に入った彗星では、最も昇華温度の高い水の氷でさえも、中心核離脱と共に消滅する。今後の課題としては、揮発成分の昇華に伴う塵の構造変化を考慮して、3AUより太陽に近い彗星の大気中で捕獲が期待される塵の組成・構造を検討し、塵探査計画の基礎資料の充実をはかる。加えて、3AU以遠で放出されて生き残った彗星氷塵について、その軌道要素及び構造の時間変化についても調べる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Mukai: Astron.Astrophys.187. 650-652 (1987)
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[Publications] T.Mukai: ESA SP-278. 427-430 (1987)
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[Publications] S.Kikuchi: Astron.Astrophys.187. 689-692 (1987)