1987 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ, ピコ秒レーザーホトリシスによる高分子錯体系の電子移動ダイナミクス
Project/Area Number |
62612507
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
増原 宏 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60029551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 憲昭 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (70176098)
板谷 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (80035071)
濱之上 熊男 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30025374)
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Keywords | レーザーホトリシス / 光電子移動 / ポリ(N-ビニルカルバゾール) / チオン / ホール移動 / 立体規則性構造 / エキシマー / ダイナミクス |
Research Abstract |
レーザーホトリシスにより, 光電子移動とそれに伴う過程のUV吸収スペクトル変化を測定し, 高分子錯体の多様な構造にもとづく特有の相互作用, ミクロ環境, 立体効果, 高次構造が, 電子移動におよぼす効果を明らかにすることを目的としている. その出発として相互作用系の最小単位である二量体のモデル化合物をとりあげ, その励起状態とイオン状態の吸収スペクトルを系統的に測定した. これは高分子電荷移動錯体を形成する系の供与体あるいは受容体の各状態の基準となるものである. 三重項励起状態においては, サンドイッチ型, 部分的重なり型, オープン型いづれもクロモフォア間に相互作用はないが, 一方カチオン状態においては各配置型に応じて様々なスペクトルを与えることを見出した. 次にクロモフォアとしてカルバゾールを有する高分子を供与体, 4-シアノピリジンを受容体として電子移動を起こさせ, 生じたポリマーカチオンの吸収スペクトルのナノ秒からマククロ秒領域の時間変化を調べた. その結果は, 高分子の立体規則構造に依存し, シンジオタクト連鎖の多い高分子は, 特有のスペクトル変化を与えた. 種々の実験結果から我々が得た解釈は以下の通りである. カチオンのホールは電子移動前の状態を反映して, 主に部分的重なり型の構造にあるサイトに生じる. その後溶媒の配向を伴いながら, カチオンとしてより安定なサンドイッチ型ポリマーカチオンを形成するサイトへホールが移動する. この高分子主鎖に沿ったホールの移動過程の直接測定は, 本研究はにおいては初めてなされたものであり, 高分子錯体系の電子移動ダイナミクスとして極めて重要な素過程の解明につながる. 本研究においては, このホール移動過程について重合度, 温度の影響を詳細に調べ, その分子論的・電子論的アプローチの手法を明確にした.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Itaya: Chemical Physics letters. 138. 231-236 (1987)
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[Publications] K.Imagi: Polymer Jounal. 19. 999-1001 (1987)
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[Publications] H.Masuhara: Proceedings of Int′1 Meeting on Advanced Materials. (1988)
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[Publications] H.Masuhara,A.Itaya: "Application of lasers polymer science and technology" CRC Press, USA, (1988)
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[Publications] H.Masuhara: "Application of lasers in polymer science and technology" CRC Press, USA, (1988)