1987 Fiscal Year Annual Research Report
リンフォカインと受容体の遺伝子発現とリンパ球増殖の制御機構の解析
Project/Area Number |
62614520
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 維紹 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (50133616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 源 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (80174712)
畠山 昌則 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (40189551)
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Keywords | インターロイキン2 / 転写制御 / インターロイキン2受容体複合体 / リガンド親和性 / オートクリン増殖 / 造腫瘍性の獲得 |
Research Abstract |
これまでの我々の一連の研究から, IL-2遺伝子の転写活性化はその5'上流領域に存在するDNA配列によって厳密に制御されていることが明らかとなっている. 本年度はこのDNA配列をより詳細に検討することにより, この領域が更にいくつかの機能的亜領域に細分化されることを明らかにした. 更にこれら亜領域に作用するタンパク因子の存在を示唆するデータも得た. IL-2の生物活性は活性化T細胞表面に発現誘導される高親和性IL-2レセプター(IL-2R)との結合を介して意起される. 我々はこれまでに高親和性IL-2RがTac抗原を含む多分子複合体であることを明らかにしてきた. そこでこのレセプター複合体におけるTac分子の役割を解明することを目的に, Tac分子由来の細胞外ドメイン及びインスリンレセプター由来の膜通過ドメイン, 細胞内ドメインを有するキメラレセプターを構築, 発現させその機能を検討した. その結果, キメラ分子は通常のTac分子と全く同様に機能的・高親和性IL-2Rを構成しうることが示された. この結果は, 機能的IL-2Rに於てTac分子はリガンド結合分子としてのみ機能し, IL-2シグナル伝達に係る構造基盤はTac以外の分子により担われていることを強く示唆している. 更に, レセプター複合体形式に際し, Tac分子は細胞外ドメインで他の分子(群)と相互作用することが推察される. IL-2システムの発現調節機構の破錠とT細胞悪性化との関連はATLを中心に多くの注目を集めている. 増殖因子によるオートクリン機構が細胞悪性化に直接つながり得るか否かを明らかにする為, IL-2産生レトロウイルスベクターを作製, IL-2依存性非腫瘍性T細胞株に感染させることにより, オートクリン増殖能を獲得したT細胞株を樹立した. この細胞株はin vivo造腫瘍性を有し, この事実はIL-2システムの脱制御がT細胞悪性化につながり得る事を実験的に示したものである.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Hatakeyama,T.Doi,T.Kono,M.Maruyama,S.Minamoto,H.Mori,M.Kobayashi,T.Uchiyama & T.Taniguchi: J.Exp.Med.166. 362-375 (1987)
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[Publications] M.Maruyama,H.Shibuya,H.Harada,M.Hatakeyama,M.Seiki,T.Fujita,J-I.Inoue,M.Yoshida & T.Taniguchi: Cell. 48. 343-350 (1987)
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[Publications] H.Shibuya,H.Harada,M.Maruyama,T.Fujita,M.Seiki,J-I.Inoue,M.Yoshida & T.Taniguchi: Mol.Basis of Lym.Action. 161-169 (1987)
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[Publications] G.Yamada,Y.Kitamura,H.Sonoda,H.Harada,S.Taki,R.C.Mulligan,H.Osaea,T.Diamantstein,S.Yokoyama & T.Taniguchi: The EMBO Journal. 6. 2705-2709 (1987)
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[Publications] T.Fujita,H.Shibuya,H.Hotta,K.Yamanishi & T.Taniguchi: Cell. 49. 357-367 (1987)
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[Publications] T.Taniguchi: Ann.Rev.Immunol.