1987 Fiscal Year Annual Research Report
繊毛虫トラヒメナの分裂停止突然変異株を利用した細胞分裂の分子機構
Project/Area Number |
62615501
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 良雄 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00015918)
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Keywords | テトラヒメナ / cdad突然変異体 / p85 / テトラヒメナ・アクチン / ミオシンMg^<2+>-AtPase 活性化能 / DNase I活性阻害能 / ファロイジン結合能 |
Research Abstract |
分裂機構の解析に利点をもつ繊毛虫テトラヒメナで, これまで我々が研究を深めてきた温度感受性分裂停止突然変異株cdaAとcdaCで変異遺伝子産物の機能を明らかにするため研究を行ってきた. (1)cdaC6の解析:cdaC6は細胞質分裂の収縮環微小繊維を束ね, 力を表局に伝える構造(LSと仮称)に温度感受性の変異があり, LSはアクチン結合性蛋白質であることが推察されてきた. しかし, テトラヒメナではアクチンの存在が証明されていなかった. そこで, 我々はテトラヒメナ・アクチンを遺伝子の面から追求し, そのクローニングと全ヌクレオチド配列決定も行った. 更に, 推定されるアミノ酸配列をもとにペプチドを合成し, その抗体を用いてアクチンの同定も行った. テトラヒメナ・アクチンの一次構造は他のアクチンのものと類似性が低いが, 蛍光抗体の局在性から他のアクチンと同様な生物学的機能を持つことが示唆された. 抗体を指標にして, テトラヒメナかのアクチンの精製にも初めて成功した. この精製アクチンは, アクチン繊維形成能やHMMとの矢尻構造形成能は通常だが, ミオシンS-1のMg^<2+>-ATPaseに対し極度に低い活性化能を示すことやDNase Iやファロイジンとの相互作用のないユニークな性質を示した. 現在, cdaC6の変異構造であるLS追跡のためアクチン結合蛋白質の分離を試みている. (2)cdaA1の解析:cdaA1は分裂面決定因子に温度依存の変異をもつ株である. cdaALの変異遺伝子産物(p85と仮称)からの抗体を用いた蛍光抗体法では, p85が分裂の直前に分裂予定赤道面に配列することが判り, 制限温度下ではこの局在も分裂も起らぬことが判った. また, p85と収縮環アクチン繊維の形成部位が密接に関係していることが明らかになり, 現在, これを直接証明するため, 抗p85抗体の収縮環微小繊維形成への影響を知るべく微量注射法を用いて検討を行っている.
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[Publications] Hirono,M,Endoh,H,Okada,N.Numata,O.& Watanabe,Y.: J.Mol.Biol.194. 181-192 (1987)
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[Publications] Hirono,M.,Nakamura,M.,Tsunemoto,M.,Yasuda,T.,Ohba,H.,Numata,O.Watanabe,Y.: J.Biochem.102. 537-547 (1987)
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[Publications] Tsunemoto,M.,Numata,O.,Sugai,T.& Watanabe,Y.: Zool.Sci.5. (1988)
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[Publications] Hirono,M.,Kumagai,Y.,Numata,O,& Watanabe,Y.: Proc,Natl.Acad,Sci.(U.S.A.). (1988)