1987 Fiscal Year Annual Research Report
W突然変異マウスの細胞複製異常を解析するin vitro実験系の確立
Project/Area Number |
62615516
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 徹 大阪大学, 医学部, 助手 (00172370)
藤田 潤 大阪大学, 医学部, 助教授 (50173430)
西宗 義武 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (80029793)
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Keywords | マスト細胞 / IL-3 / 共生培養 / 線維芽細胞の機能 / 突然変異マウス / 細胞増殖 / G1期 |
Research Abstract |
Wマウスはすべての組織でマスト細胞を欠損しているがWマウスの骨髄細胞をIL-3の存在下で培養するとマスト細胞が出現し, 正常マウス由来のマスト細胞と同様の能率で増殖する. しかしながら正常マウス由来のマスト細胞をWマウスの腹腔内に注射すると生存し続けるのにWマウス由来のマスト細胞をWマウスの腹腔内に注射すると消滅する. この現象をin vitroで再現するためにWマウス由来のマスト細胞をIL-3が存在しない条件でNIH-3T3細胞と共生培養した. Wマウス由来マスト細胞は分裂せず4週後には消滅した. 上記の実験ではIL-3を加えて培養していたマスト細胞を洗浄後ただちにNIH-3T3細胞と共生培養したが, NIH-3T3細胞との接触が細胞周期のどの時期に作用するかをしらべるためにマスト細胞をIL-3を含まない培養液で24時間培養してG1期にそろえた. G_1期にある正常マウス由来マスト細胞をNIH-3T3細胞と共生培養すると18時間後からS期に入る細胞がみられだし, 36時間後には約20%の細胞がS期に入った. 一方G_1期のマウス由来マスト細胞をNIH-3T3細胞と共生培養してもS期に入る細胞はなかった. 以上よりマスト細胞にはT細胞由来の増殖因子依存性の増殖と線維芽細胞との接触に依存性の増殖の2種類がありWマウス由来のマスト細胞では増殖因子依存性の増殖機構は正常だが, 線維芽細胞との依存性の増殖機構は作働しないことがわかった. S1突然変異マウスはW突然変異マウスと同様にマスト細胞を遺伝的に欠損しているが, S1マウスの骨髄細胞をIL-3の存在下で培養して得たマスト細胞はNIH-3T3細胞との接触依存性増殖は正常である. そこでSIマウス胎児より3T3線維芽細胞を樹立した. 対照として得た正常胎児由来3T3細胞が正常マスト細胞の増殖を支持したのに, S1-3T3細胞は支持能力を完全に欠いていた.
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[Publications] Hamaguchi,Y.: Journal of Experimental Medicine. 165. 268-273 (1987)
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[Publications] Otsu,K.,: Journal of Experimental Medicine. 165. 615-627 (1987)
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[Publications] Nakano,T.: Jolrnal of Immunology. 138. 544-649 (1987)
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[Publications] Galli,S.J.: American Journal of Pathology. 127. 191-198 (1987)
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[Publications] Kanakura,Y.: American Journal of Pathology. 129. 168-176 (1987)
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[Publications] Fujita,J.,: Journal of Cellular Physiology. 134. 78-84 (1988)
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[Publications] Kitamura,Y.: "Ontogeny of mast cells.In The Immunology of Fetus (ed.Chaouat,G.)" CRC Press,Boca Raton,FL,