1987 Fiscal Year Annual Research Report
核構成々分のモノクローナル抗体の分離とその細胞内注入による細胞複製機構の解析
Project/Area Number |
62615518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 驍 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (40029781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 安史 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10177537)
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Keywords | 細胞核 / モノクローナル抗体 / 染色体周囲 / 核孔 / 核たんぱくの核輸送 |
Research Abstract |
真核細胞の複製機構のうち細胞分裂時における核膜の形成と崩壊に関与する蛋白質および複数をはじめとする種々な核機能に関与している核内の蛋白質の核への輸送機構を知るために核構成々分のモノクローナル抗体を分離した. まずこれ等の抗体を用いて関節蛍光抗体法で細胞を染色し, その性状を核の染色パターンから分離した. 核を均一に染色するもの3つ. 他のすべては核膜をより強く染色した. そのうち凝縮染色体の周囲を染めるものが2つあった. 細胞分裂時の細胞とS, G_1, G_2の各期の細胞と融合させ, 未熟染色体凝縮(PCC)を行わせたところ, G_1およびS期の染色体周囲は染色せずG_2期染色体の周囲を染色した. この事からこの抗体の抗原はG_2期にすでに染色体周囲に集積しはじめている事が解った. さらにこのうちの1つと細胞質のベジクルを染色した. この抗体の抗原の分子量は約40Kであった. これ等の抗体を細胞の細胞質や核へ注入し細胞分裂時にどの様な影響を与え, 染色体の凝縮やマイクロフィラメントとのかかわりを解析していきたい. これ等のものと全く異る抗体として, 核の表面を班点状に染色する抗体も得ることが出来た. 免疫電顕像からこの抗体の認識部位は核孔であると考えられる. この抗体をアフィニティー精製して細胞質へ注入したところ, テストした3種の核蛋白質のすべてについて核への移行が完全に阻害された. その阻害は3時間持続し次第に減少した. 他方核蛋白質の核への移行が完全に阻害されている時, RNAの核からの遊出は殆んど阻害されていなかった. この抗体を用いて細胞分裂時の細胞を染色したところ, ラミンAやCと同様に染色体以外の部位が染色されていた. この抗体の抗原たんぱく質をウエスタンブロッテング法でみたところ分子量62Kと55Kにみられた. 今後これ等のたんぱく質の精製を進め, 核孔形成へのアッセンブリの機構やこのたんぱく質遺伝子のクローニングへと進めていきたい.
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[Publications] Wataya-Kaneda,M.,Kaneda,Y.,Sakurai,T.,Sugawa,H.and Uchida,T.: J.Cell Biology.104. 1-7 (1987)
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[Publications] Yoneda,Y.,Arioka,T.,Imamoto-Sonobe,N.,Shimonishi,Y.,and Uchida,T.: Exp.Cell Res.170. 439-452 (1987)
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[Publications] Kaneda,Y.,Hayes,H.,Uchida,T.,Yoshida,M.C.,and Okada,Y.: Chromosoma. 95. 8-12 (1987)
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[Publications] Kaneda,Y.,Uchida,T.,Kim,J.,Ishiura,M.and Okada,Y.: Exp.Cell Res.173. 56-69 (1987)
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[Publications] Yoneda,Y.,Imamoto-Sonobe,N.,Yamaizumi,M.and Uchida,T.: Exp.Cell Res.173. 586-595 (1987)
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[Publications] Imamoto-S,N.,Yoneda,Y.,Iwamoto,R.,Sugawa,H.and Uchida,T.: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.