1987 Fiscal Year Annual Research Report
Streptococciの輸送性ATPaseのH^+生化学的, 遺伝学的研究
Project/Area Number |
62617505
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 弘 千葉大学, 薬学部, 助教授 (00090473)
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Keywords | Streptococci / H^+輸送性ATPase / ph調節 / H^+輸送性ATPaseの変異株 |
Research Abstract |
1.Streptococcus FaecalisのH^+輸送性AT Paseの生合成は低いpHで促進される. この促進は本酵素の役割である細胞内pHを調節するためには必須であると考えられている. まずこの点についてコンピューターシュミレーションを行なった. その結果, 低いpHで本酵素が促進されないかぎり細胞内pHは一定に保たれないことがわかった. 2.次に、この生合成の促進がいかなくなった変異株の分離を試み、目的とする変異株を分離することができた。この変異株(AS17株)では、pHの低下によりH^+輸送性AT PaseのF_o部分はその生合成が促進されるが、F^1部分はまったく促進されなかった。その結果、低いpHで増殖している本変異株の細胞膜にはF^1部分を欠いたF^o部分が蓄積し、H<+>の膜透過性が高くなっていた。以上の結果は、他の細菌と異なり、S.faecalisのH<+>輸送性A T PaseはF^1とF^o部分が別々の調節単位として存在していることを示唆している。 3.上記の変異株(AS17株)を分離する過程で新しい変異株(AS8株)が分離できた. AS8株のH^+輸送性ATPaseはF^o部分の変異によりATPは加水分解できるがH^+輸送性がないことがわかった. また, F^1とF^oの結合力は野性株とほぼ同じであった. このように, AS8株はH^+輸送性ATPaseが構造的には野性株と同じであるにもかかわらず, F^1とF^o部分が機能的に共役していない極めて興味深い変異株である. 4.S.faecalisのH^+輸送性ATPaseの遺伝子のクローニンクを大腸菌および大腸菌のベクターを用いて行なったがクローンは得られなかった. 今後へ別の系を用いてクローニングを行なわなければならないと思われる.
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