1987 Fiscal Year Annual Research Report
クエン酸回路酵素のリン酸化共有修飾による活性制御とATP産生応答の遺伝子調節
Project/Area Number |
62617511
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小池 正彦 長崎大学, 医学部, 教授 (10039521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 豊 長崎大学, 医学部, 助手 (80191162)
浦田 芳重 長崎大学, 医学部, 助手 (30185087)
小池 吉子 長崎大学, 医学部, 助教授 (80039619)
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Keywords | クエン酸回路酵素 / ピルビン酸脱水素酵素 / リン酸化共有修飾 / α, βサブユニット / α, βcDNA / 塩基配列 / リン酸化部位 / 点突然変異プライマー |
Research Abstract |
ミトコンドリア局存のクエン酸回路は, その回転により生ずる水素を電子伝達系におくり, 酸化的リン酸化系と共役してATPを生産する. この反応は, 関連酵素活性の迅速な調節によって制御されていると推察されていたが, 近年リン酸化共有修飾によってもATP産出応答制御がみられることが示唆された. そこで, 本回路の入口を占有するピルビン酸脱水素酵素(PDH)を標的にして, 回路の回転制御-ATP産出応答機序を, PDH遺伝子の構造と発現面から解明する事を目標に, 本研究を計画した. ブタ心筋ミトコンドリアのPDH複合体を分離し, 成分であるPDHを解離・精製した. さらにPDHはα, βサブユニット(鎖)の四量体(α_2β_2)であるので, 両鎖に分画した後, 抗家兎両鎖抗血清を調製した. 抗ブタ両鎖抗体がヒト酵素両鎖と交さすることを発見したので, HeLa細胞由来λgt11cDNAライブラリーから遺伝子産物を指標にする免疫学的スクリーニング法で, α, βcDNA断片をクローン化した. つぎにこれらの放射性標識化断片をプローブして, ヒト培養繊維芽細胞由来のプラスミドcDNAライブラリーからハイブリダイゼーション法で, 完全長のヒトα, βcDNA(1.8kb, 1.9kb)のクローン化に成功した. αcDNAは1,076bpで, アミノ酸29個のリーダーシークエンスを含む392個のアミノ酸組成のα鎖前駆体の合成を, またβcDNAは1,077bpで, 30個のリーダーシークエンスを含む395個のアミノ酸組成のβ鎖前駆体の合成をコードすることを実証した. α鎖上に動物酵素のα鎖上で発見されている3個のSer残基を含むリン酸化部位が存在することも確認した. そこでこリン酸化部位の点突然変異プライマーを合成し, 部位特異的突然変異を誘発したαcDNAの調製とα, βcDNAの培養細胞並びに原核細胞での発現条件の確立を試みている.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 小池吉子: 生化学. 59. 779 (1987)
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[Publications] 浦田芳重: 生化学. 59. 880 (1987)
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[Publications] Kichiko Koike: Proceeding of National Academy of Sciences,USA. 85. 41-45 (1988)
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[Publications] Masahiko Koike: Thiamin Pyrophosphate Biochemistry. 2. (1988)