ニューロン及びグリア細胞における細胞特量蛋白遺伝子の転写制御機構の研究

1987 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62620507
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 高橋 康夫 新潟大学, 脳研究所, 教授 (00018590)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 助手 (40162325) ; 桑野 良三 新潟大学, 脳研究所, 助手 (20111734) ; 栗原 正 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50018800)
• Keywords: ニューロン / グリア細胞 / 遺伝子 / 転写 / 制御因子蛋白 / プロモーター / エンハンサー / ゲルシフト分析

Research Abstract

中枢神経系細胞はニューロンアストログリアオリゴデンドログリアの3種類の細胞から構成されているがその発生分化は殆ど解明されていない. 我々はニューロン特量蛋白としてニューロン特量エノラーゼ(NSE)コレンストキニン(CCK)アストログリア特量蛋白としてS-100βオリゴデンドログリア特量蛋白として2′, 3′環状ヌクレオチド水解酵素(CNP)について夫々遺伝子クローニングを行い現在前3者では成功した. そこでこれらの遺伝子を使用して以下の転写実験を行った.
(1)HeLa細胞由来の無細胞転写系を使用してNSE, CCK, S-100β遺伝子の転写を検討しNSE, CCKでは忠実な転写産物を得ることができた. プロモーター領域の固定を行うこともできた. しかしS-100βでは成功しなかった. 脳核抽出液やニューロブラストームグリオーム培養細胞抽出液で試みたが未だ成功しなかった.
(2)NSE, S-100βの遺伝子の5′隣接領域のDNA断片とCAT遺伝子或はlacZ遺伝子とを結合した融合遺伝子を作成し培養細胞に導入しinvivo転写実験を行った. 欠失DNA断片を使用した結果プロモーター領域やサイレンサーなどの存在を立証した.
(3)NSE, CCK, S-100βの遺伝子の5′隣接領域のDNA断片と結合して転写を制御すると考えられる脳細胞核内蛋白因子を検索し夫々の遺伝子に結合する蛋白の存在をゲルシフト分析法ExonucleaseIII法, DNaseIfootprinting法により証明することが出来た. この中S-100βについてはSouth-Wastern法でその蛋白の分子量を測定し約67000であることを見出した.

Research Products

• [Publications] Kenji Sakimura: Gene. 60. 103-113 (1987)
• [Publications] Tadaoki Kurihara: J.Biol.Chem.262. 3256-3261 (1987)
• [Publications] Ryozo Kuwano: Moleculir Brain Res.2. 77-82 (1987)
• [Publications] Hiroshi Usui: Biochemisyry Internat.15. 809-816 (1987)
• [Publications] 高橋 康夫: 実験医学. 6. 32-36 (1988)
• [Publications] 高橋 康夫: "カルシウムシグナリングの分子制御" 秀潤社, 179 (1987)