1987 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロンにより誘導される2-5A合成酵素の遺伝子発現調節
Project/Area Number |
62620511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宗川 吉汪 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (30012727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 理巳郎 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (40189965)
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Keywords | インターフェロン / 2-5A合成酵素 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
今年度の本課題による研究で, まず, ヒト2-5A合成酵素遺伝子の転写開始部位の同定とその上流領域の塩基配列の決定を行った. クローン化した本酵素の染色体遺伝子の翻訳開始コドンより上流0.5Kbの塩基配列を決定した. また, IFN処理したヒト細胞より抽出したRNAを用いて, S1mapping法およびprimer exfention法により転写開始部位を同定したところ, 翻訳開始コドンの上流-60〜-84の領域に少なくとも4カ所存在することが分かった. この転写開始領域の内部および上流0.3Kbには, TATA-boxやCAAT-boxの配列は見だされなかった. つぎに, 欠損変異遺伝子による転写制御領域の解析を行った. 転写開始領域より上流約2.2Kbを含む2-5A合成酵素遺伝子DNAをプラスミドpSP64にサブクローニングし, これをネオマイシン耐性遺伝子と共にマウスL細胞にco-transfectした. G418耐性細胞をスクリーニングし, それにマウスLFNを作用させると, 導入したヒト2-5A合成酵素遺伝子からの転写の誘導が観察された. そこで, 5'上流領域のDNA(-2.2K〜+40)をchloramphenical acetyl transferase(CAT)遺伝子の翻訳領域に接続したプラスミドおよびそれに種々の5'欠失を導入した変異体を作製し, ヒトFL細胞を用いたtransient expression系での発現を調べた. その結果, 転写開始点から上流の-144bpまでを含む組換え体では, より上流までを含むものと同程度の誘導が見られたが, -67bpまでを欠失させるとやや誘導レベルが低下し, さらに-23bpまで欠失させると誘導は全く認められなくなった. 以上のことはLFNによる誘導に必要な塩基配列の5'側の境界は-67〜-23にあることを示している. この領域にLFNによる誘導に関係していると考えられている共通配列(CACTTTC)が存在し, さらに, -70〜+25に(G/C)(G/C)AAAなる特徴的配列が7カ所存在していた. これらの知見から本遺伝子の転写制御領域は-70〜-40付近にあると考えられる.
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