1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62620514
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
広瀬 進 国立遺伝学研究所, 遺伝情報研究センター (90022730)
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Keywords | 転写制御 / スーパーコイル / DNAトポイソメラーゼII / VP16 / 転写開始複合体 / 閉環状DNA / Sarkosyl |
Research Abstract |
われわれは, カイコ絹糸腺抽出液中にDNAをスーパーコイル化するジャイレース様活性を検出し, 鋳型DNAのスーパーコイル形成による転写の活性化を見いだしてきた. このスーパーコイル形成による転写活性化の機構を調べる目的で, フィブロイン遺伝子の転写を1.0.025%Sarkosylで阻止される転写開始複合体形成, 2.0.05%Sarkosylで阻止される開始複合体から伸長複合体への変換, 3.0.05%Sarkosylに抵抗性なその後RNA鎖伸長反応の3過程に分けて解析した. その結果, 伸長複合体への変換(素過程2)とその後のRNA鎖伸長反応(素過程3)は速やかな反応で, 鋳型DNAのスーパーコイル形成によって影響う受けないのに対し, 開始複合体形成(素過程1)は転写の律速段階であり, DNAのスーパーコイル形成により著しく促進されることが判明した. DNAをスーパーコイル化するジャイレース様活性は, DNAトポイソメラーゼIIとスーパーコイル化因子から成っているため, トポイソメラーゼIIの特異的阻害剤であるVP16によって阻害される. そこでVP16が転写に及ぼす効果を調べたところ, スーパーコイル形成の阻害にともなって閉環状DNA上での開始複合体形成が抑えられるが, 素過程2と3には影響がみられなかった. 以上の結果から, 鋳型DNAのスーパーコイル形成によって開始複合体形成が促進され, 転写が活性化されるという機構が明らかとなった. 今後は, 開始複合体形成にあずかる転写因子(TFIIA.TFIIB.TFIID.TFIIE)とRNAポリメラーゼIIを分画し, これらのうちどの因子がスーパーコイル化したDNAに高い親和性をもっているかについて調べる予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 広瀬 進: Proc.Natl.Acad.Sci.USA.85. 718-722 (1988)
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[Publications] 広瀬 進: J.Biol.Chem.263. (1988)
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[Publications] 広瀬 進: 実験医学. 5. 1086-1091 (1987)