1987 Fiscal Year Annual Research Report
C4光合成に関与するPEPカルボキシラーゼ遺伝子の細胞タイプ特異的発現の分子機構
Project/Area Number |
62622505
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉井 桂 京都大学, 理学部, 助教授 (20025414)
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Keywords | C_4植物 / C_4光合成 / トウモロコシ / ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ / 遺伝子クローニング / DNAとDNAの塩基配列 / 細胞タイプ特異的遺伝子発現 |
Research Abstract |
C4-植物には葉の細胞分化を伴う炭酸固定回路が存在するが, この回路の初期炭酸固定酵素として強く発現されるのがホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)である. 本酵素の強い発現はC_4植物に特徴的であり, また葉組織でも葉肉細胞でのみ発現するという特徴を持つ. 更に, トウモロコシのPEPCはmultigene familを構成し, 各々の遺伝子は違った組織特異的発現をしていると考えられている. そこで本研究は, 各々のPEPC遺伝子のプロモーター領域及び, 組織あるいは細胞タイプ特異的な発現調節領域とその領域に作用する因子を明らかにする事を目的とする. 本年度の主な成果を以下に記す. (1)我々は既にC_4光合成に関与するPEPCのcDNAクローンを5個単離しているが, この中の一つpM500は, mRNAのプライマー伸長法による実験から完全長であることを明らかにした. これにより本酵素の5'非翻訳領域は83ntであることがわかった. (2)先のcDNAの5'末端領域をプローブとしたサザン・ハイブリダイゼーション法で検出されたPEPC遺伝子の中の4種類のEcoR断片をクローン化した. これらの4種類の染色体DNAクローンの制限酵素切断点地図を作成した. 更に, これらの4種類のクローンはいずれも5'末端領域しか含んでいなかったが, 違った遺伝子由来のクローンであることを明らかにした. なお, この4種類のクローンはハイブリダイズの程度が異なり, 三つのクローンはcDNAとホモロジーが高く, 残りの一つはホモロジーの低いクローンであると考えられた. (3)cDNAとホモロジーの高い3種類のクローンについてcDNAの5'非翻訳領域に対応する領域とその上流について, 塩基配列の決定を行っているが, 部分的に決定した塩基配列上では, これらのクローンはcDNAと非常にホモロジーが高く, 更に5'非翻訳領域の上流少なくとも1.1Kbを含んでおり転写開始点及びプロモーター領域を含んでいる事が期待される.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 柳澤修一: 生化学. 59. 776 (1987)
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[Publications] S.Ishijima: J.Biochem.102. 1231-1240 (1987)
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[Publications] S.Yanagisawa: FEBS Lett.229. 107-110 (1988)
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[Publications] 香月裕彦: "ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ "遺伝子組換えを駆使したタンパク質デザイン" バイオ高分子研究の進歩 第1巻 (高分子学会編)" 学会出版センター, 200 (1987)