1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62623502
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
藤澤 仁 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10027039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛松 孝正 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30188768)
山内 卓 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90041813)
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Keywords | チロシン水酸化酵素 / ドーパミン / 黒質一線条体系ドーパミン作働性神経サイクリックAMP依存性蛋白質燐酸化酵素 / カルモデュリン依存性蛋白質燐酸化酵素II / MAP2 |
Research Abstract |
パーキンソン病は運動障害を主症状とする神経難病であり, 本症に黒質一線条体系ドーパミン作動性神経の機能障害が認められることはよく知られている. 我々はMPTPにより誘発されるパーキンソン病モデルを用いてその黒質一線条体系ドーパミン性神経の障害発症機序を明らかにするために基礎となる正常な黒質一線条体系ドーパミン性神経の機能調節について検討した. ドーパミンの合成速度を調節しているチロシン水酸化酵素がその最終反応物産のドーパミンによって不活性化され, 不活性型酵素はサイクリックAMP依存性蛋白質燐酸化酵素によって再び著明に活性化されることを我々はこれまでに明らかにしたが, さらに検討を進めた結果ドーパミンは酵素に触媒的に作用して酵素を不活性化することが明らかになった. ドーパミンの他ノルアドレナリンやアドレナリンも同等に酵素を不活性化するが, 酵素を不活性化するにはカテコール環と側鎖のアミン構造が必要であり, カテコールアミンに特異的な性質であることも明らかになった. さらにカテコールアミンは酵素を不活性化するばかりでなく, 酵素を変性による失活から保護し安定化する性質ももつことが示され, 酵素はドーパミンによって安定且つ不活性型に転換されると考えられた. ラット脳を用いて調べると線条体でも黒質でも酵素は不活性型で存在しているのでチロシン水酸化酵素は黒質で蛋白合成された直後にドーパミンによって安定・不活性型に転換され, 安定, 不活性型酵素が軸索流で線条体に運ばれるものと考えられる. チロシン水酸化酵素を燐酸化し活性化するカルモデュリン依存性蛋白質燐酸化酵素IIはチューブリン, MAP2, アクチン等を燐酸化してその重合と脱重合を調節しており, ドーパミン分泌の調節にも関与していると推定されているが, 酵素の自己燐酸化による不活性化およびカルモデュリン非依存性活性への転換等活性の自己調節機構をも明らかにした.
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[Publications] Fujisawa, H.: Methods Enzymol.142. 63-71 (1987)
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[Publications] Ichimura, T.: FEBS Lett.219. 79-82 (1987)
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[Publications] Okuno, S.: Biochem. Biophys. Res. Commun.146. 1375-1381 (1987)
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[Publications] Yamauchi, T.: Biochim. Biophys. Acta. 968. 77-85 (1988)
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[Publications] Shirota, K.: J. Neurochem.
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[Publications] 奥野 幸子: "生体の科学 38巻 3号" 医学書院, 229-234 (1987)
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[Publications] 藤澤 仁: "脳の可塑性の物質的基礎" 朝倉書店,
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[Publications] 藤澤 仁: "蛋白質・核酸・酵素 カルシウムイオンと細胞機能" 共立出版株式会社,