1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62624503
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 徳男 東北大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (30192412)
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Keywords | LDL受容体異常 / 動脈硬化 / 心筋障害 / CDNAクローニング |
Research Abstract |
家族性高コレステロール血症(FH)は人類で最も頻度の高い遺伝病で, 人では人種に関係なく500に1人の割合で原因遺伝子である低密度リポ蛋白質(LDL)受容体遺伝子に異常がある. コレステロールの運搬体であるLDLに対する受容体の異常により血液中のコレステロール濃度が増加することはLDL受容体経路により理解されるが, 血液中のコレステロール濃度の増加によりなぜ動脈硬化が発生し, 心筋細胞障害を引き起こすかという謎をLDL受容体経路によって解くことはできない. 本研究では, 人のFH同様にLDL受容体遺伝子の異常により動脈硬化を引き起こすFHのモデル動物であるWHHLウサギを用いて, WHHLウサギにおいて特異的に異常発現あるいは異常抑圧されているmRNAに対するcDNAを単離し, それを固定し, その機能を明らかにすることにより受容体異常から動脈硬化, 心筋細胞障害に至るまでのカスケードを, 分子レベルで理解することを目的としている. 62年度ではWHHLウサギと正常ウサギの大動脈, 心臓, 肝臓よりmRNAを分離し, これらのmRNAを鋳型にして数10万〜100万クローンよりなるcDNAのライブラリーを確立してスクリーニングを開始した. 本研究では, 減質cDNAプローブをスクリーニングに用いるが, WHHLウサギの大動脈からmRNAを充分得ることができないので, 減質cDNAプローブ調製法の改良を現在行っている. また動脈硬化巣では, がん遺伝子や細胞増殖因子の遺伝子が活性化されているとの報告もあり, これら動脈硬化形成に関与していると考えられる遺伝子プローブをも含めてスクリーニングしている所である. 既にいくつかの候補が単離されているが, これらについては追試と詳細な解析の段階である.
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