1989 Fiscal Year Annual Research Report
DNA・薬剤結合の幾何学を知るためのラマンセルの開発
Project/Area Number |
62840014
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Research Institution | Iwaki-Meisei University |
Principal Investigator |
坪井 正道 いわき明星大学, 理工学部, 教授 (40012588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永嶋 伸也 味の素(株), 中央研究所・分析研究所, 主任研究員
池田 照樹 日本分光(株), 第一事業部・応用研究課, 課長
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Keywords | DNA / 制がん剤 / アクラシノマイシン / アドリアマイシン / ラマンスペクトル / 流動配向 / 電場配向 / DNA・薬剤の結合 |
Research Abstract |
1.電場配向セルの試作を行こなった。山高帽子形の小さいガラス容器に小さいゴム栓様の底をつけて中の空間を密閉し、この空間の天井に接して0.3ミリメ-トルのギャップを持つ白金電極を設置し、ここに少量の試料溶液を置き、電極に100ボルト(つまり3000Volt/cm)の矩形直流電圧をかけるのがよいことを知った。 2.上記の装置をラマン顕微鏡に設置して試料の異方性を偏光子を用いて測定する場合の誤差について検討した。その結果、市販の良質の偏光板は殆ど誤差の原因をつくらないこと、しかしビ-ムスプリッタ-は反射面に垂直の偏光面を持つ光を平行の偏光面を持つ光よりも余計に透過させることを知った。後者に対する補正方法を確立した。 3.アクラシノマイシン・DNA結合の幾何学と、アドリアマイシン・DNA結合の幾何学がどう違うかをラマン分光学的に追究し、これをこの両薬剤の塩基配列選択性を結びつけることに成功した。その結果を第三回ヨ-ロッパ生体分子分光学会議(平成元年9月)で発表し、詳細をJ.Raman Spectroscopyに投稿した。また、アクラシノマイシンとオリゴDNAのd(CGTACG)_2との結合、および同薬剤とd(CCTAGG)_2との結合を核磁気共鳴法によって調査した。その結果、この薬剤はどちらの塩基配列でもTpA部位に挿入されるらしいことを知った。また、Cu(TMpyーP_4)と称する扁平ポルフィリン分子はDNA二重らせんのGpC部位に挿入されるが、波長426nmのレ-ザ-光で励起されるとこれがApT部位に結合することを知った。これについての詳細な報文はPhotochem.Photobiol.に投稿した。なお、ディスタマイシンとDNAの結合についても調査し、この結合に当ってディスタマイシン分子のねじれが起ることを明らかにした。
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[Publications] Y.Nonaka,M.Tsuboi,and K.Nakamoto: "A Comparative Study of Aclacinomycin versus Adriamycin by Means of Resonance Raman Spectroscopy" Journal of Raman Spectroscopy. 21. (1990)
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[Publications] P.Y.Turpin,L.Chinsky,A.Laigle,M.Tsuboi,J.R.Kincaid,& K.Nakamoto: "A Porphyrine-DNA Exciplex:Resonance Raman Spectra of Electronically Excited Cu(TMpy-P4)bound to Poly(dA-dT).poly(dA-dT)" Photochemistry and Photobiology. 51. (1990)
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[Publications] 坪井正道,池田照樹: "ラマン顯微鏡" 現代化学(東京化学同人). 64-69 (1989)
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[Publications] M.Tsuboi,H.Miyano,E.Suzuki,N.Nagashima,Y.Nonaka,and K.Nakamoto: "Base-Sequence Selectivity in a DNA-Drug Interaction in″Spectroscopy of Biological Molecules----State of Art″" Societa Editrice Esculapio,Bologna,Italy, P.147-150 (1989)