1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62840026
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Research Institution | Earthquake Research Institute, University of Tokyo |
Principal Investigator |
兼岡 一郎 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30011745)
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Keywords | K-Ar代測定 / 小型質量分析計 / イオン源感度 / イオン・コレクター / 二次電子増倍管 |
Research Abstract |
昭和62年度において設計・試作されたKーAr年代測定用小型質量分析計につき、今年度は更にその基本的な性能などについて検討を重ねた。当初試作された段階においては、イオン源の感度が4×10^<-5>A/Ton程度しかなかったので、この点の向上を目的としてイオン源部の一部改造を行った。即ちイオン化室から加速部へのイオンとりだしのためのスリット巾を広げ、フィラメント周囲の遮蔽板の位置などを少々変更した。またサプレッサー電位を変化させてみて、最もイオン源の感度が向上する条件を探った。イオン化に必要な電子をとりだすフィラメントも、レニウム・リボン及びタングステン・リボンなどの異なったサイズのものを用いて比較・検討した。これらを検討した結果、2×10^<-4>A/Ton.程度のイオン源感度が得られるようになった。 しかしこの程度のイオン源感度では、100万年より若い火山岩で極微量の放射性起源^<40>Arしか含んでいないような試料のK-Ar年代測定を行うには不十分である。この問題の解決法の一つとしては、二次電子増倍管を組みこんだイオン・コレクターを用いればよい。しかしAr量の多いものに対しては、むしろファラデー・ケージの方が使いやすい。これらの両方の要求に応えるものとしては、ファラデー・ケージと二次電子増倍管の両方を組みこんだものが望ましく、今年度の経費でその開発を行った。必要な二次電子増倍管の倍率及び分析箱のサイズなどを考慮して、二次電子増倍管としては市販の16段のCu-Be型のものを10段に落して用いることにした。この部分の改造・電源部の開発などに手間どって、その詳細な性能の吟味を行うまでには至らなかった。しかしこの部分の改造は終了しているので、今後この改造した小型質量分析計の性能の検討を更に進めていく予定である。
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[Publications] Ichiro KANEOKA: Bull.Volcanol.Soc.Japan,Ser.2. 32. 329-333 (1987)
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[Publications] Ichiro KANEOKA: Bull.Volcanol.Soc.Japan,Ser.2. 33. 37-41 (1988)
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[Publications] Ichiro KANEOKA: Proc.NIPR Symp.Antarct.Meteorites. 1. 206-214 (1988)
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[Publications] Ichiro KANEOKA: Bull.Volcanol.Soc.Japan,Ser.2. 33. 221-226 (1988)
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[Publications] Ichiro KANEOKA: Geochem.J.22. (1989)
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[Publications] Ichiro KANEOKA: Proc.NIPR Symp.Antarctic.Meteorites. 2. (1989)
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[Publications] 兼岡一郎(杉村新,中村保夫,井田喜明編): "放射年代決定法、同位体地球科学(図説地球科学)" 岩波書店, 266 (1988)
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[Publications] 兼岡一郎(松尾禎士,日下部笑,松葉谷治編): "地球内部における物質移動(基礎地球化学)" 講談社サイエンテフィック, (1989)