1989 Fiscal Year Annual Research Report
高温での組織安定性に優れた核熱エネルギ-変換用Ni基鍛造合金の開発
Project/Area Number |
62850133
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
菊地 實 東京工業大学, 工学部・金属工学科, 教授 (30089817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 孝 東京工業大学, 工学部・金属工学科, 助教授 (10089823)
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Keywords | 耐熱合金 / 高温強度 / クリ-プ / 金属間化合物 / 粒界析出強化 |
Research Abstract |
本研究は、核熱エネルギ-の高効率利用を意図した高温ガス炉の中間熱交換器用合金として、すでに提案された1000℃で使用でき、また、鍛造可能なNi-Cr-W系合金に、ニオブの添加を行い、高温強度がさらに優れた新合金を開発しようとするものである。 63年度においてはクリ-プ強度の観点から、Ni-Cr-W-Nb系合金におけるニオブとタングステン量の最適値を検討して、W量が15及び17wt%の2種のNi-20Cr-3Nb-W系合金が有望であることを指摘した。 平成元年度においては、まず、両合金について析出相による粒界被覆率ρとクリ-プ抵抗との関係を検討した。その結果、いずれの合金においても、1000℃ではタングステンの固溶体α_2相がほぼ結晶粒界のみに析出し、900℃においてはβ相(Ni_3Nb)がまず粒界に析出して、遅れてα_2相の粒界析出が生じること、また、これらの相の粒界析出はともにクリ-プ抵抗を増加させ、その増加量は析出相による粒界被覆率ρがより高い900℃においてとくに顕著であることを明らかにした。さらに、超合金の加速域を拡大させ、また破断延性を高める効果が期待できるボロンとジルコニウムの添加をNi-20Cr合金について試みた結果、ボロンとジルコニウムの添加はいずれも加速域を拡大させ、破断延性を高めることを明らかにした。さらに、そのような効果が生じた機構は、粒界不純物元素を固着させるような従来の考えとは異なり、両元素がともにサブグレイン化を促す効果を持つことに起因するものと結論した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 平井龍至,竹山雅夫,松尾孝,菊地實: "Ni-20Cr合金のクリ-プにおける転位下部組織に及ぼすB及びZrの効果" 学振123委研究報告. 28. 221-231 (1987)
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[Publications] 平井龍至,松尾孝,菊地實: "Ni-20Cr合金の高温クリ-プ抵抗に及ぼすサブバウンダリ-形成の影響" 学振123委研究報告. 29. 41-50 (1988)
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[Publications] 平井龍至,寺田芳弘,松尾孝,菊地實: "Zr添加Ni-20Cr合金の高温クリ-プ抵抗に及ぼすサブグレインサイズの影響" 学振123委研究報告. 29. 275-285 (1988)
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[Publications] 中島要,松尾孝,菊地實: "Ni-Cr合金の高温クリ-プ挙動に及ぼすCr量の影響" 学振123委研究報告. 30. 29-39 (1989)
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[Publications] 中島要,渡辺宗一郎,松尾孝,菊地實: "Ni-Cr合金の高温クリ-プ特性に及ぼすMoの影響" 学振123委研究報告. 30. 145-158 (1989)
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[Publications] Masao TAKEYAMA,Takashi MATSUO,Makoto KIKUCHI and Ryohei TANAKA: "The Effect of Boron and Zirconium on Creep Deformation of a Ni-20Cr Single Phase Alloy at High Temperature" METALLURGICAL TRANSACTIONS.