1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62850150
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 享 九州工業大学, 工学部, 教授 (10029134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 敏之 日本精化研究所, 研究所長
山口 雅彦 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30158117)
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Keywords | 不斉配位子 / 不位触媒反応 / ホスフィノカルボン酸 / 不斉アルキル化 |
Research Abstract |
近年医薬品工業、香料工業をはじめとする合成化学工業界において、触媒的不斉合成反応は極めて重要な合成手段となりつつある。しかし実用的不斉触媒は殆ど存在しない。本研究は不斉触媒用配位子の合成を経済的な合成プロセスとして確立することを目的とした。 1.2ージフェニルホスフィノシクロブチルおよびシクロペンチルカルボン酸(DPCBCおよびDPCPC)の合成 先に我々が開発した1ーシクロアルケニルホスホニウム塩と1,3ージチアンより簡便に高収率でラセミ体の2ージフェニルホスフィニルシクロアルキルカルボン酸((±)ーDPCAC oxide)の合成に成功した。(±)ーDPCAC oxideメチルエステルをトリクロロシランによる還元、エステル加水分解により好収率で(±)ーDPCACを得た。光学活性なフェニルエチルアミンを用いて光学分割し、光学活性な(+)ー、(-)ーDPCACを得るのに成功した。 2.不斉触媒反応への利用 光学活性DPCACと酢酸パラジウムより不斉触媒(1.0ー1.5mol%)を調製し、シクロヘキセニルアセテートおよび1,3ージフェニルプロペニルアセテートよりπーアリルパラジウム錯体を経由する不斉アリル化反応をマロン酸エステル、ホスホノ酢酸エチル、ベンジルアミン等を求核試薬として用いて行ったところ、化学収率(60ー100%)および光学収率(30ー90%ee)とも良好な結果を得た。環サイズが不斉合成反応に及ぼす効果を調べた。DPCBCを配位子とした反応は室温で速やかに進行した。DPCPCを配位子として用いると反応は加熱しないと定量的に進行しない。しかしながら、室温で反応を行うと光学収率はDPCBCのそれより若干向上することが判明した。このように、当初計画していたように新規キラルホスフィンが簡便に合成出来、不斉アリル化反応において良好な結果を得ることが出来た。実用的応用が大いに期待される。
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Research Products
(2 results)