1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62850157
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
仲川 勤 明治大学, 工学部, 教授 (60139459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 昇 旭化成工業, 研究員
樋口 亜紺 明治大学, 工学部, 助手 (30189766)
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Keywords | 透析膜 / 溶質透過性 / ドナン効果 / 塩排除率 / 耐放射線性 / ポリスルホン / メタリルクロリド共重合体 / ジチオカルバメート |
Research Abstract |
前年度につづき、ポリスルホンをクロルメチル化し、これにN-メチル-N-カルボキシメチルジチオカルバミン酸ナトリウム(以下SDC)を反応させて、SDC化ポリスルホンを合成した。SDC化ポリスルホンならびに、比較のため合成したトリエチルアミン(以下TEA)化ポルスルホンより非対称膜を調製し、透析実験を行った。SDC化ポリスルホン非対称膜はTEA化ポリスルホン非対称膜より10〜200倍の透水量を示した。このことは、かさ高いSDC基が膜中に水を取り込むためと推定した。銅キレート化ならびに紫外線照射したSDC化ポリスルホン膜はポリエチレングリコールの分画性ならびに塩排除率が未処理膜より向上した。ドナン平衡を仮定して導いた塩排除の式に、膜電位測定ならびに収着実験より求めた有効電荷密度と熱力学的分配係数の値を与えて、排除率を算出し、これを実験値と比較し、良い一致を見た。本研究で得られた透析膜は現在市販の低圧逆浸透用の透析膜よりすぐれていることが示された。この膜をコバルト60からのγ線を、1Mrad/hrの線量率で40時間照射を行ったが、膜の強度、透過性にはほとんど変化がなく、耐放射線性が示された。また、メタリルクロリドは単独では高分子量の重合体が得られなかったので、ポリアクリロニトリルとの共重合体の形として用いた。この共重合体を、昨年度行ったポリ塩化ビニルの場合と同様、SDCと反応させ良好な膜を得ることができた。しかし、共重合体として用いたアクリロニトリルの極性効果で、SDCの置換率が低く、良好な透析性能を示さなかった。この膜の耐放射線性はポリスルホンをベースとした前述のSDC化ポリスルホンと同様に、外観、強度に影響が見られず耐放射線性が示された。アクリロニトリル含有量を最小限におさえることによって、良好な耐放射線性透析膜となることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tsutomu Nakagawa;Shingo Mukaida: Reports on Progress in Polymer Physics in Japan. 31. 251-252 (1988)
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[Publications] 仲川勤,後藤方弘,樋口亜紺: 高分子論文集(高分子学会). 46. 37-44 (1989)
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[Publications] Tsutomu Nakagawa;Akon Higuchi;Noboru Kubota: J.Membrane Science.