1988 Fiscal Year Annual Research Report
チーズホエーおよび卵白からの健全性タンパク質の新簡便分離法の開発
Project/Area Number |
62860036
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊 乾二 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70023447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本木 正雄 味の素, 中央研究所, 主任
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Keywords | 卵白タンパク質 / 酸性加熱 / アミノーカルボニル反応 |
Research Abstract |
1.卵白からの健全性タンパク質の分離法について:新鮮な鶏卵より卵白を分離し、これを均質化する。このもののpHを2から9として、食塩の添加を0、1と3%とし、それぞれの試料を25℃のものを対照にして70、74、78と85℃にて3分間加熱した。卵白中のオボムコイド以外のタンパク質は、pH2から4の範囲でほぼ全量沈殿したが、この沈殿率は70℃以上で良好であった。この加熱に際して、水溶性のカルボキシメチールセルロースを卵白に対して2〜3%添加して上記と同様の試験を実施したところ、pH4.5〜5.5にて60℃以下の加熱によっても健全性タンパク質の沈殿物が得られた、この物は、タンパク質とセルロースとの複合体であると認めた。以上の結果より、卵白からの健全性タンパク質の調製には、pHを4以下にして70℃、3分間加熱するか、あるいはカルボキシルメチールセルロースを2〜3%添加してpH5.0付近として50℃に加温すると良いと結論した。この沈殿物には卵白中のグルコースの存在はなく、その沈殿物を加工素材として使用してもアミノーカルボニル反応が生じて劣化する事はないと認めた。これらの処理は、実験室レベル以上の準工場レベルにても実施可能であった。 2.乾燥調製品の食品物性試験:1で得た各種試料を凍結乾燥して、それぞれの乾燥調製品を作製した。これらの溶解性、ゲル形成性、凝固性などの食品物性を測定した。酸性下の加熱調製品ではpHの酸性度が低いほど、さらには加熱の温度が低いほど卵白そのものの調製品と似た性質を示したが、過激な条件下では、特に溶解性の低下がみられた。一方、カルボキシメチールセルロースの添加系では、溶解性の低下も少なく、一般的には酸性加熱下の調製品よりも良好な物性を示した。なお、これらの乾燥調製品を室温貯蔵あるいは加熱しても、アミノーカルボニル反応による褐変化は生じなかった。
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