1988 Fiscal Year Annual Research Report
パッチクランプ法と蛍光色素法を併用した細胞内カルシウム動態の高精度解析法の開発
Project/Area Number |
62870002
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
河 和善 群馬大学, 医学部, 講師 (70125839)
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Keywords | 細胞内カルシウム / パッチクランプ法 / 蛍光色素 / カルシウムチャネル / 細胞培養 / 肝細胞 / 好中球 |
Research Abstract |
昭和62年度の成果により株化肝細胞HuLー1(正常ヒト由来)とイモリの顆粒白血球が本研究のモデル標本として優れている事が判明した。 1.HuLー1細胞は独協医大の高岡聰子博士より分けてもらい、5%血清を含むイーグル培地で継代培養した。パッチ電極のWhole-cell法で調べると静止膜電位は-44±18mVであり、-80と+20mVの間ではほぼ直線の電圧一電流関係を示した。外液にアセチルコリン(ACh、10μM)を添加しピペットで圧力により局所投与すると外向き電流が誘発され、固定膜電位を深くすると電流振幅は小さくなり-70〜-80mVで反転し内向きとなる。誘発電流はAch投与期間中(20〜50秒)にその振幅が変動し、時に振動様経過をとる。類似の応答はムスカリン性作動薬のベタネコール(10μM)を投与しても誘発された。また外液にアトロピタン(5μM)を加えると応答は消失した。従ってACh応答はムスカリン性受容体を介すと結論された。 パッチ電極につめる内液をキレート剤(EGTA)で10^<-8>M以下に保つとACh応答は小さくなり、もとの内液にすると回復した。またAChのかわりにCa^<2+>イオノフォアA23187(10μM)を局所投与しても外向き電流が誘発された。これらはACh応答が細胞内Ca^<2+>上昇を介している事を示唆する。そこでCa^<2+>感受性蛍光色素Fura-2AMを細胞内に負荷した後、AChを投与し蛍光強度の変化(励起波長340と380nm)を測定した。応答に一致して細胞内Ca^<2+>濃度が上昇する事が示された。 2.イモリの好中球は特徴的な分葉核を有す事で同定された。Whole-cell法で測ると静止膜電位は-60〜-80mVで強い過分極を与えると内向き整流特性を有するK^+電流が誘発された。好中球に向け、口腔内雑菌を培養した上清液を投与すると細胞は変形し遊走を始める。この時、膜電位は+20mVにまで脱分極し細胞内Ca^<2+>濃度上昇が生じた。
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[Publications] Kawa,K.: Journal of Physiology.393. 647-666 (1987)
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[Publications] Kawa,K.: Journal of the Physiological Society of Japan.49. 358 (1987)
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[Publications] Kawa,K.: Journal of Physiology.399. 93-113 (1988)
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[Publications] Kawa,K.: Journal of Physiological Society of Japan.50. 409 (1988)
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[Publications] Kawa,K.: Biomedical Journal. (1988)
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[Publications] Kawa,K.: Jounal of Physiology. (1989)
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[Publications] Kawa,K.: "Cell Biology of Secretion" Center for Academic Publications Japan & VNU Science Press BV., (1989)