ECCO_2R適用を目的とした高性能炭酸ガス除去人工肺の開発

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62870053
• Research Institution: Keio University
• Principal Investigator: 谷下 一夫 慶応義塾大学, 理工学部機械工学科, 助教授 (10101776)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉川 昭 東邦大学, 理学部物理学科, 教授 (30075329) ; 今村 洋二 慶應義塾大学, 医学部胸部外科, 助手 (10118911) ; 相馬 康宏 慶應義塾大学, 医学部胸部外科, 専任講師 (40051437) ; 南谷 晴之 慶應義塾大学, 理工学部電気工学科, 教授 (70051779)
• Keywords: 膜型人工肺 / 炭酸ガス除去 / ECCO_2R / 高性能人工肺

Research Abstract

Kilobowらによって提唱されたECCO_2R(Extracorporeal CO_2 Removal)の手法が急性呼吸不全治療に対して有用であることがわかり、炭酸ガス除去性能の高い膜型肺が必要とされている。そこで本研究では、微孔性膜(微孔性テフロン膜、微孔性ポリプロピレン膜)の使用により膜抵抗を減少させ、種々の曲り管内に生ずる2次流の対流効果によって血液側抵抗を低下させて性能改善を図った。62年度では主として2次流の対流効果による酸素付加性能及び炭酸ガス除去性能の改善について実験をおこなった。63年度ではさらに微孔性膜の見かけの膜抵抗について検討を加えた。まず微孔性膜のホローファイバーを用いた人工肺ユニットを試作し、膜界面での物理化学的性質を明確にするため、膜表面の漏れ特性を調べた。漏れ特性の指標として、固体一液体界面での接触角を、キャピラログラフ法によって測定し、同時に水及び血液における炭酸ガス除去効率を実験的に求め、漏れ特性と炭酸ガス除去性能との関連を調べた。接触角が低下し、漏れやすくなれば孔内への液体の浸入がより低い圧力によって可能となり、孔内に浸入した液体の存在が膜抵抗の増加になっていると考えられる。そのためさらにエチレングリコールによって人工肺のCO_2除去性能を測定し、漏れ特性とCO_2輸送との関連を確認した。その結果以下の点が明らかになった。(1)微孔性ポリプロピレン膜を用いた人工肺では、有限な膜抵抗が存在し、血液側の平均圧力を350〜400mmHgにまで高めると、CO_2除去効率が1/3程度まで低下する。(2)微孔性ポリプロピレン膜の血液に対する接触角は水の場合より約7度低くなり血液が水よりも漏れやすい。PTFE膜では血液に対する接触角は約3度低くなる。(3)微孔性ポリプロピレン膜の表面では、液体の接触角低下のために漏れやすくなり、孔内への液体の浸入が容易となって膜抵抗の増大の原因となる。

Research Products

• [Publications] 谷下一夫 他: 日本機械学会論文集.
• [Publications] 星野堪児,谷下一夫: 医科器械学会臨時号. (1988)
• [Publications] 星野堪児,谷下一夫: 人工臓器.
• [Publications] K.Tanishita;et al.: J.of Biomechanical Eng.,Trans.of ASME.
• [Publications] 谷下一夫: "バイオメカニクスの基礎と応用第1巻バイオメニクス概説" オーム社,