1988 Fiscal Year Annual Research Report
人工臓器と補体系ー新規医用高分子膜開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
62870104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長沢 滋治 北海道大学, 薬学部, 助教授 (70029958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 武久 国立循環器病センター, 人工臓器部, 部長 (60142189)
山下 俊之 北海道大学, 薬学部, 助手 (90192400)
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Keywords | 人工膜 / 補体系 / 医用高分子膜 / 血漿分離膜 |
Research Abstract |
広く医用高分子膜開発において問題となっていることの一つに、補体系の活性化があげられる。本研究は、補体系との適合性の高い人工膜の開発に役立つ情報をえる事を目的としている。そのために、膜による補体系活性化の程度を簡便に測定する方法の開発を進めるのと平行して実際に開発チームと共同して、膜開発の問題点を検討した。 現在、北海道赤十字センターは新しい血漿分離法として,膜モジュールを用いる落差式血液成分分離システムの開発を進めている。分離膜の設計は旭メディカが担当し、種々の分離膜が合成されている。我々は、これら種々の分離膜について,補体系活性化能を調査し、より補体適合性の高い膜を開発するための情報をえる研究を進めつつある。 これまでに、ポリプロピレン膜、ポリビニルアルコール膜、セルロースジアセテート膜、ポリエチレン膜を基礎にした分離膜について、補体適合性をしらべてきた。これらのなかでは、セルロース系統やポリビニルアルコール系統の分離膜は古典的経路の活性化率が高く、ポリプロピレンやポリエチレン系統の分離膜は弱い活性化能を示した。これらから、補体古典的経路に関しては、疎水性表面膜の方が適合性が高いと推論できる。一方、第2経路との適合性に関しては、ポリビニルアルコールやセルロース膜も活性化率が高く、ポリプロピレンやポリエチレン膜の方が良い適合性を示す傾向がみられた。また、ポリビニルアルコール膜にエチレン含量を増減すると、補体適合性が変動すること、さらにまたポリエチレン系膜の場合ではポリエチレングリコールの導入率によっても適合性が変動することが分った。現在、これらの情報をフィードバックして、さらに適合性の高い分離膜の開発が進められつつある
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yukihiro Kusunoki: Nephron. 51. 17-19 (1989)
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[Publications] Manabu Shirato: FEBS lett.234. 231-234 (1988)
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[Publications] 楠幸博: 日本免疫学会学術集会記録. 18. 766 (1988)
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[Publications] 楠幸博: 日本小児腎臓病学会雑誌. 1. 55 (1988)