1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62880014
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
大隅 一政 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (70011715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 能雅 東京大学, 薬学部, 教授 (30150014)
末野 重穂 筑波大学, 地球科学系, 教授 (30110513)
大政 正明 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (30092159)
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Keywords | 極微小単結晶 / サブミクロン / 構造解析 / 放射光X線 / ラウエ法 |
Research Abstract |
科学研究費補助金の交付初年度である昨年度中には、回折計の設計・製作を行い、予備的な実験も行った。 本年度は試作した回折計の立上げ、改良、実験及び解析のためのリフトウェアの開発を行った。回折計本体での最も顕著な改良点は、放射光X線を試料結晶に導くためのコリメータの改良である。放射光X線の強力な白色性は、コリメータ自身からの散乱・蛍光X線がバックグラウンドを高めるため、これを防ぐために材質の吟味をはじめ、形状についても充分な検討を加えた。また、ゼームストッパーについても同様である。試料結晶は真空槽中に設置されており、回折計全体も同様であるため、回折強度を逆空間の広い範囲で収集するためには、真空を保ったまま結晶方位を変更することが必要である。回折計の中、X、W軸の制御と、検出器であるイメージングプレートの移動を遠隔操作するための計算機及びインターフェイスの購入によって、上述の機能を可能とした。 以上の様な回折計の改良及び整備によって、0.8ミクロン径のモリブデン単結晶、ミクロン径のCVD(気相成長)炭素質物質及びミクロン径の衝撃圧縮ダイアモンドのラウエ像測定に成功した。これは世界最小の単結晶による回折強度測定である。 実験により得られる白色ラウエ像から観測構造因子を導くソフトウェアの開発を行い、ラウエ斑点に重畳されている各ブラッグ反射の強度をdeconrolutionすることも行い、良好な結果を得ている。 今後は、入射白色X線のスペクトル及びイメージングプレートの感度特性を精細に決定し、この方法による構造解析・構造精密化の精度を検討することが必要である。現在、10ミクロンのスピネル単結晶によって求められたX線スペクトルとイメージングプレート特性の積を基にして0.8ミクロンのモリブデン単結晶の温度因子の精密化を実行中である。
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Research Products
(1 results)