1988 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経細胞回路網の膜電位変化の2次元解析用高時間分解蛍光顕微鏡システムの開発
Project/Area Number |
62880026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
葛西 道生 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40022595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 隆久 大阪大学, 基礎工学部, 教務職員 (10197246)
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Keywords | 培養細胞 / 脳神経細胞 / 神経回路網 / 膜電位感受性色素 |
Research Abstract |
前年度の研究により、基本的な蛍光顕微鏡システムが完成したが、超高感度SITカメラの納入が遅れたため、その調整が遅れていた。まずそれを調整し、微弱蛍光像が観測可能であるのを、ローダミン・ファロイジンでラベルしたアクチン像を観察することにより確認した。次に本年度の目標の1つである膜電位と蛍光強度の正確な校正曲線を求めるために培養細胞に直接電極を刺入する方法を試みた。通常の電気生理学的手法により、微小電流通電により膜電位を変化させ、その際の蛍光強度変化をテレビカメラより捉えようとした。対象となったニワトリ胚終脳培養細胞は直径10ミクロンと微小電極刺入法の限界に近く、そのため細胞が生存しにくく、たとえ刺せても膜電位は-30mVぐらいと、実際の値より小さかった。現在は、Whole-cell-patch法により校正曲線を得る計画をたてており、今後の課題としたい。作製した蛍光顕微鏡システムは10^<-2>程度の蛍光強度変化を捉えることのできる感度を持っており、また文献的には、100mVの膜電位変化に対して10〜20%の蛍光強度変化を示す蛍光色素が報告されている。しかし、本研究では、それらを含む20種類の色素を試したが、それほど大きな蛍光強度変化は示さなかった。これは、電極刺入の容易な培養筋肉細胞で得られた結果である。培養細胞系の方は、いろいろな工夫を加えた結果、3週間以上の培養が可能になり、形態的、酵素的(コリンアセチルトランスフェラーゼ活性)に細胞が成熟していることが確認された。このシステムでの現在の最大の問題点は変化の大きな膜電位感受性色素を得ることである。色素の開発は本研究の範囲外であるが、今後、有機合成の研究者と協同でそのような色素を開発してゆく必要がある。また、同時に、システムの感度をあげて、さらに微弱な蛍光変化も捉えられるように改良してゆくことも今後の課題である。
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