1988 Fiscal Year Annual Research Report
DNAプローブ固定化カラムによる特定DNA断片の高分解能検出分離法の開発
Project/Area Number |
62880028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 昭允 東京大学, 理学部, 教授 (10011462)
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Keywords | 固相化DNAプローブ / 末端固定 / TEACl / 高効率クローニング法 / トレシルクロライド / アミノリンク |
Research Abstract |
本研究の目的は、核酸相補鎖の相互作用が極めて高い選択特異性を持つことを利用し、簡便かつ高い信頼性のもとに効率よく特定の塩基配列を単離したり、特定の塩基配列の存在や変異を検出したりするシステムを開発することである。この方法の原理は、DNAプローブを固相化しプローブとサンプルとの相互作用が塩基組成に依存せず、単にプローブとサンプル間の類似性の強弱のみに依存する条件(2.4M TEACl)を用い、温度を精密にコントロールすることでサンプルの液相と固相の間の分布を調整することにより、目的とする核酸塩基配列を含む断片を効率よく単離、精製、分析を行うというものである。 本年度は以下に述べるように、現在の分子生物学等に於けるクローニングの技術の重要性に鑑み、効率のよいクローニング法の開発を行った。 1.比較的簡便な、HPLCゲルへのプローブの固定化法の開発;リクロスフェアーSi1000に、非水性環境下でエポキシ基を導入、酸で水解してジオール基とし、非水性環境下にトレシルを導入した。プローブ側は、5'端にアミノリンクを付加した。両者を混合、反応させ、プローブをゲルに末端固定した。2.サンプルDNAと固相化プローブのハイブリッド形成;RIでラベルしたサンプルDNAを用い、ハイブリッド形成に影響を与える種々の因子の影響を調べ、特定の遺伝子を単離するための適切な条件を定めた。3.RNAと固相化プローブとのハイブリッド形成;この手法が特定のRNAの単離に使えるかどうかを調べた。極めて有望な結果を得た。4.ヒトのゲノミック遺伝子、5'端制御領域の単離、クローニング;実際に、ヒトのエンブリオナル・カルチノーマ(EC)細胞(2×10^6ケ)から抽出されたDNAより、フィブロネクチン遺伝子5'端制御領域を極めて効率的に単離、クローニングした。 本研究で得られた結果の関連分野への影響は、多大なものと思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Tsurui;A.Suyama;A.Wada: Nucleic Acids Symposium Series. 19. 49-52 (1988)
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[Publications] 鶴井博理: 細胞工学 7月号. (1989)
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[Publications] 鶴井博理: 実験医学 9月号. 7. (1989)