1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62890003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野口 淳夫 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (80091916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 功 島津製作所バイオ機器部, 部長
坂尾 伸夫 ほくさん低温センター, 課長
倉岡 泰郎 ほくさん低温センター, 所長
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Keywords | 透化 / 極低温 / 凍害 / ヴィトリィフィケーション / 細胞の凍結保存 / 液体ヘリウム / 瞬間凍結 / 瞬間融解 |
Research Abstract |
前年度に引き続き装置の改良を行った。特に解凍装置は瞬間凍結により、細胞に対する障害を最小限に押えた場合重要になる。理想的には、凍結に到る過程を逆行すればよい。そのためには、凍結細胞の外側から高熱を加え、急速融解を促進するとともに、細胞温度が細胞にとって生存し得る範囲内で止るような、その上昇を制御し得る工学的工夫が要求される。本年度は、以上のような条件を満たす瞬間融解装置の開発を原理的に成功せしめた。 凍成装置本体については、前年度に引き続き改良を行った。最大の問題点は、熱交換器を媒介に、一次系冷却系の液体ヘリウムによって二次系(凍結系)の液体ヘリウムを冷却する際の、熱交換効率である。第二の問題は二次系のヘリウムの温度上昇をいかに押えるかにある。これらの問題は、外界との断熱をいかに効果的に行うかによって規定される。すなわち、装置に設置されたパイプの断熱性、継目の工夫などである。これらの問題はある程度改善されたが満足できる状態にはない。 本テーマに基づく研究開発の過程で、何故細胞の瞬間凍結には液体ヘリウムが有効なのか、益々明確になってきた。要は細胞を瞬間凍結し、非晶形結晶(透化、ヴィトリィフィケーション)を効果的に生じせしむるためである。そのためには冷却凍結を惹起する一次媒体(液体ヘリウム、液体窒素)とこれを細胞に伝達するために二次媒体(ヘリウムガス、金属など)の二要素がいかに関与するのか解明しなければならない。一次媒体が液体窒素温度でも二次媒体が効率的に細胞の温度を低下せしめれば、失透は起る。逆にたとえ一次媒体が液体ヘリウム温度でも、二次媒体が効率的に細胞を冷却凍結できなければ失透は生じない。本年度は、以上のような結論の下に、あえて液体窒素による超急速細胞凍結を試み、端初的成果をあげた事を附記する。
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