1988 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤低感受性腫瘍克服に向けての分子生物学的解析とその臨床的方策に関する研究
Project/Area Number |
63010034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 一正 名古屋大学, 医学部, 教授 (60023785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 長宏 国立がんセンター, 医長
桑野 信彦 大分医科大学, 教授 (80037431)
稲葉 実 (財)癌研究会癌化学療法センター, 主任研究員 (60085636)
西村 敏男 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (10013327)
上原 至雅 国立予防衛生研究所, 室長 (50160213)
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Keywords | oncogene / src / ras / myc / bleomycin不活化酵素 / glutathione生合成阻害物質 / O^6-methylguanine / dihydropyridine / GSTπ / methylthioneine |
Research Abstract |
1.低感受性腫瘍細胞の遺伝子レベルでの解析:(1)Fisher ラット線維芽細胞3Y1に各種癌遺伝子を組み込み発現させた細胞株の制癌剤に対する感受性の差を比較し、src又はras発現細胞では共通の多くの薬剤に低感受性を示す事実を明らかにした。(2)アロ組織適合抗原支配遺伝子(H-2)、又は癌遺伝子(erbB遺伝子)とH-2との融合遺伝子を腫瘍細胞内に移入したtransfectantでは移入移伝子産物に対する強いkiller活性の誘導と腫瘍に対する特異免疫の獲得を証明した。2.抗癌剤の薬理生化学的解析と耐性克服に有効な物質の探索:(1)bleomycin(BLM)不活化酵素がシスティンprotease阻害物質E-64により顕著に阻害されることを見出し、本物質とペプレオマイシン併用によりチャイニーズハムスター肺由来のV79の殺細胞作用の増強、BLM不活化酵素活性減少効果を認めた。(2)同様に耐性克服の面ではヒト結腸癌WiDrのDDP及びACNUの低感受性がglutathione生合成阻害剤BSOさらにO^6-AGTを阻害するO^6-methylguanineとの併用により増強されることを見出した。(3)一方、多剤耐性を克服する薬剤の多くが多剤耐性蛋白(gp170)と強い親和性を示すことを明らかにし、さらにgp170との親和性の強いdihydropyridine系薬剤のスクリーニングによりCa^<2+>拮抗作用のない耐性克服物質を見出した。また耐性克服物質セファランチンがライソソームに対して強い親和性を有することを見出した。3.臨床例の解析と低感受性克服の試み:(1)肺癌化学療法に重要な位置を占めるシスプラチンに対する耐性株の分子生物学的特性を分析し、感受性株に比し薬剤の代謝と関連するGSTπのmRNA及び解毒蛋白とみられるmethalthioneinlのexpressionの増加を認めた。(2)CMMC誘導体KT6149、anthracycline誘導体menegorlはinvitrol mother compoundに比し強い抗腫瘍作用を認めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Murakami,Y.: Cancer Res.48. 1587-1590 (1988)
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[Publications] Uehara,Y.: J.Antibiotics. 41. 831-834 (1988)
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[Publications] Nishimura,C.: Jpn.J.cancer Res.80. 65-68 (1989)
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[Publications] Ozawa,M.: Cancer Chemother.Pharmacol.22. 41-46 (1988)
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[Publications] Akiyama,S.: Molec.Pharmacol. 33. 144-147 (1988)
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[Publications] Nakagawa,K.: Jpn.J.Cancer Res.(Gann). 79. 301-304 (1988)