1988 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性Steganacin Analoguesの合成及び生物活性の検討
Project/Area Number |
63015025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古賀 憲司 東京大学, 薬学部, 教授 (10012600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 清 東京大学, 薬学部, 助教授 (50114575)
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Keywords | ステガナシン / 紡錘子形成阻害 / 新規骨格 / 合成 / 構造活性相関 / 立体異性体 / ポドフィロトキシン |
Research Abstract |
制癌剤候補物質の創製は、人類の福祉向上に大きく貢献することが期待され、制癌活用を発現し得る新規な骨格の発見を目指して弛ゆみのない努力が注がれてきた。 我々は、steganacinの不斉全合成に成功し、またその誘導体の抗腫瘍活性にも検討を加えてきた。その結果、非天然型骨格が、臨床試用に共されたポドフィロトキシン系制癌剤と同様に、紡錘子形成阻害活性を有することを発見した。 本研究は、この発見を基盤として、さらに有効かつ強力な制癌活性を示すと期待される窒素原子置換体1の短段階合成法の確立、またそれらの構造活性相関の知見の集積を行い、新しい制癌剤候補物質の創製に貢献することを目的とした。所期の成果を得たので記す。 入手容易なアミノ酸を原料とし、僅か4行程の効率の高い1の合成法を開発することに成功した。また、異性化反応により1の立体異性体の合成にも成功した。さらに、5員環部、またOMe基のOHへの修飾を行ない各種誘導体を合成した。 合成した各種化合物の細胞毒性の検討の結果、示した1の立体構造が必須であり、1の立体異性体には活性がないこと、また5員環ウレタン部は活性の発現には影響を及ぼさないが、窒素原子がアシル化されると活性が高いことが分った。 この活性の化学構造によるゆらぎは、新しい骨格を持つ制癌性化合物の設計の指針となるばかりではなく、すでに1をリード化合物と設定できたことになる。 今後、新しい制癌剤の開発に展開したいと考えている。
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