1988 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫におけるN-myc癌遺伝子の増幅および発現とカテコラミン代謝の相互制御機構
Project/Area Number |
63015062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川原 章 九州大学, 医学部, 講師 (50117181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 泰治 九州大学, 医学部, 助教授 (10156119)
池田 恵一 九州大学, 医学部, 教授 (00038655)
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Keywords | 神経芽腫 / N-myc癌遺伝子 / カテコラミン代謝 |
Research Abstract |
(1)神経芽腫の手術時摘出標本のN-myc増幅および発現と予後の関係について解析したところ、増幅の方がより臨床的予後と一致することが明らかとなった。 (2)神経芽腫100例について6つの予後因子(年令、病期、原発部位、組織型、N-myc、尿中VMA)の多変量解析を行ったところ、N-mycは年令および病期と並ぶ予後因子であること、また、原発部位と尿中VMAは予後因子としてはN-mycに吸収されてしまうことが判明した。 48例の神経芽腫について腫瘍内のtyrosine hydroxylase(TH)とdopamine-β-hydroxylase(DBH)活性を測定し、N-myc増幅との関係を調べた。その結果、N-myc低増幅群(1-10copies.)は高増幅群(11coples以上)に比べ、TH活性は約3倍、DBH活性は約2倍であり、N-myc増幅と尿中VMA、HVA排泄量の逆相関関係が酵素レベルで確認できた。また。N-myc増幅群においては、TH、DBH両者とも活性が低いもの、THのみ活性が低いもの、DBHのみ活性が低いものなどのパターンが存在した。さらに、N-myc非増幅群においては、組織学的分化度の高いものに両酵素活性の低下がみられた。以上より、N-myc増幅と腫瘍内カテコラミン代謝系の未熟性との間には、遺伝子あるいは酵素レベルで何らかの調節機構が存在することが示唆された。(4)N-mycと連動して変化することがinvitroで知られてるMHCc lass 1抗原について、同様の現象が摘出腫瘍についも存在するのかどうか検討したところ、両者は臨床材料においてもdown-regulationの関係にあることが判明した。 神経芽腫腫瘍内のmdr-1発現はN-mycとは無関係であった。しかし、未治療群では、腫瘍の分化度とmdr-1発現の間に相関性がみられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakagawara,A.et al.: Journal of Pediatric Surgery. 23. 346-349 (1988)
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[Publications] Nakagawara,A.et al.: Surgery. 104. 34-40 (1988)
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[Publications] Nakagawara,A.: Advances in Neuroblastoma Research. 31-39 (1988)
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[Publications] Nakagawara,A.et al.: European Journal of Pediatrics. 148. 171 (1988)
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[Publications] Nakagawara,A.: Excerpta Medica.
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[Publications] Nakagawara,A.et al.: Surgerye.