1988 Fiscal Year Annual Research Report
抗イディオタイプならびに改造分子モノクローナル抗体を用いた癌の新しい診断の基礎
Project/Area Number |
63015079
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
日野田 裕治 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10165128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 浩三 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60117603)
谷内 昭 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50045324)
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Keywords | 腺癌関連抗原 / 抗イディオタイプ抗体 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
腺癌関連糖鎖抗原YH206は、腺癌患者血中に高率に発現し、免疫組織染色でも高い陽性率を示す。他の糖鎖抗原とは免疫化学的に異ることも明らかにされている。しかし早期癌診断やターゲティング療法などにおいては、他の抗体同様未だ十分な有用性を示していない。本研究においてはこれらの点を改良すべく実験を進め以下の成績を得た。 1.YH206抗原を認識する新たなモノクローナル抗体を開発し、YH206との間でdouble determinant assayを確立する目的で、YH206抗原を免疫原としてモノクローナル抗体BM2を作製した。本抗体とYH206とを用いて、double determinant assayを行った結果、YH206単独の測定系に比較して、癌患者における陽性率はやや低下するものの、YH206抗原陰性例で陽性を示す症例が存在し、YH206抗体との組み合わせによって陽性率を改善することが可能と考えられた。2.癌患者血中のYH206を検索する目的で、YH206を同系マウスに免疫し、抗イディオタイプモノクローナル抗体AI206を作製した。AI206はYH206に特異的に反応し、YH206抗原抗体反応を阻止した。AI206を用いて癌患者血中のYH206抗原に対する抗体価の測定を行った結果、胃癌及び膵癌患者の中に高値を示す例が存在した。YH206抗原がきわめて低値を示す症例の一部に高抗体価を示す例もあり、このような例においては抗体価の測定が腫瘍マーカーとしての価値を有する可能性が示唆された。またAI206を同系マウスに免疫して得られた抗血清は、YH206様の反応性を示すことから、AI206はYH206の内部イメージを有するものと思われた。さらにAI206の内部イメージをワクチンとして応用できるなら、糖鎖抗原に比較して大量精製・生産が可能となる。AI206ハイブリドーマよりgenomicライブラリーを作製して、V_HおよびV_L領域の遺伝子配列を解析すべく実験を計画中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ban,T.: Cancer Res.in press. (1989)
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[Publications] Hinoda,Y.: Int.Natl.J.Cancer. 42. 653-658 (1988)
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[Publications] Yachi,A.: J.Tumor Marker Oncol.2. 181-186 (1988)
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[Publications] Fukuda,Y.: Cancer Immunol.Immunothr.27. 26-32 (1988)
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[Publications] 今井浩三: The Medical Bulletin. 6. 108-109 (1988)