1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞の無限増殖性化に関与する染色体、遺伝子、および遺伝子機能に関する研究
Project/Area Number |
63015095
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
難波 正義 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (80069004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 建三 川崎医科大学, 医学部, 助手 (40113196)
押村 光雄 神奈川県立がんセンター, 臨床研究所, 室長 (20111619)
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Keywords | ヒト正常細胞 / 老化 / 無限増殖性化 / 癌化 / 染色体 / 遺伝子 |
Research Abstract |
正常なヒト由来の線維芽細胞を培養し、正常ヒト線維芽細胞株を樹立した。そしてその細胞にコバルト60ガンマー線を照射し、無限増殖性に変化した細胞系を作り、さらに、この細胞にラス癌遺伝子を導入して、造腫瘍性に変化させたヒト細胞の発癌実験系を確立した。このヒト細胞の発癌実験から、ヒト細胞の癌化には、細胞の無限増殖性への変化の段階がきわめて重要であることが分った。したがって、この無限増殖化への変化の段階を以下の2つの方法で調べた。 1.無限増殖性化前の正常細胞と無限増殖性化した細胞の無限酵素断片長の多型性(RFLP)を調べた。その結果、用いた33種類のプローブのうちで、第11と第13染色体の遺伝マーカーD11S12とD13S1を用いたとき、両者の細胞の間にDNAの多型を認めた。現在、第11、13染色体に関連するさらに多くの遺伝子プローブで、細胞の無限増殖化への変化の前後のRFLPsを調べ、細胞の無限増殖化に関連する遺伝子の染色体上の位置を追求中である。同時に、細胞の無限増殖性にリンクするマーカー遺伝子を検索している。 2.ヒト染色体を含む微小核細胞を作り、その染色体をヒト子宮内膜癌細胞株HHUAに微小核融合法で移入した。その結果、第1染色体移入の場合HHUA細胞の増殖が著しく抑制され、ある細胞では増殖停止した。この事実は、第1染色体は細胞の無限増殖性を抑制することを示している。現在、これらの現象がその他の無限増殖化したヒト細胞(癌細胞も含めて)に認められるかどうか実験中である。 米国のスミスらは、ヒトの細胞の無限増殖化を抑制する遺伝子相補群が少なくとも4種類あることを発表している。したがって、我々は第1染色体以外にも、細胞の無限増殖化に関連する染色体の存在を予想してその他の染色体の移入実験も進めている。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Namba,M: Mutat.Res.199. 415-423 (1988)
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[Publications] Cornelis,J.J.: J.Virol.62. 1679-1686 (1988)
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[Publications] Namba,M.: Anticancer Res.8. 947-958 (1988)
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[Publications] 難波正義: 細胞工学. (1989)
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[Publications] Sato,K.: Gene. 71. 371-379 (1988)
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[Publications] Sato,K.: Nucleic Acids Res.19. 185-188 (1988)
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[Publications] 押村光雄: 組織培養研究. 6. 12-20 (1988)
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[Publications] Oshimura,M.: J.Cell.Biochem.
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[Publications] Oshimura,M.: Cancer Letter.
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[Publications] Koi.M.: Jpn.J.Cancer Res.
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[Publications] Koi.M.: Jpn.J.Cancer Res.
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[Publications] Koi.M.: Mol.Carcinogenesis.
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[Publications] Namba,M.: "Proceedings of the Workshop on Cell Transformation Systems Relevant to Radiation Induced Cancer in Man" IOP Publishing Ltd., (1989)