1988 Fiscal Year Annual Research Report
癌遺伝子による細胞の癌化増殖におけるイノシトールリン脂質代謝の役割
Project/Area Number |
63015102
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
竹縄 忠臣 東京都老人総合研究所, 薬理部, 部長 (40101315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 希代子 東京都老人総合研究所, 薬理部, 助手 (40181242)
松岡 耕二 東京都老人総合研究所, 薬理部, 助手 (60110029)
山川 彰夫 東京都老人総合研究所, 薬理部, 研究員 (30200588)
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Keywords | 癌遺伝子 / イノシトールリン脂質代謝 / ホスファチジルイノシトール4 / 5-2リン酸 |
Research Abstract |
ある種の癌遺伝子や腫瘍ウイルスによって癌化した細胞に於て、ホスファチジルイノシトール4、5-2リン酸(PIP_2)の分解促進が生じていることが知られている。しかし、PIP_2の分解が癌遺伝子による癌化に必須であるのかどうか明らかでない。この問題を解決するためPIP_2に対するモノクローナル抗体を作成し細胞内へ注入した。本抗体はPIP_2に結合してPIP_2のホスホリパーゼCによる分解を抑制すると考えられる。本抗体をrasで癌化した細胞へ注入したところ、可逆的な細胞増殖の抑制と形態の正常化が見られた。srcやerbBで癌化した細胞の増殖も同様に本抗体が阻害した。しかしmycで癌化した細胞の増殖へは影響を与えなかった。これらの結果によりras、frc、erbBで癌化した細胞の増殖へのシグナルとしてPIP_2の分解が関与していることが分かった。 細胞膜上に癌遺伝子産物が存在する細胞の増殖に、PIP_2が関与している感触を得た。しかしPIP_2の分解が抑制され,andメッセンジャーであるIP_3やDG産生を阻害するためなのか、PIP_2をimmob lizeしたため細胞膜上の構築の変化が生じたためなのか明らかではない。今後そのあたりを解明していきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Huang;Chida;Kamata;Nose;Kato;Homma;Takenawa;Kuroki: The Journal of Biological Chemistry. 263. 17975-17980 (1988)
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[Publications] Kato;Kawai;Takenawa: Biochemical and Biophysical Research Communications. 154. 959-966 (1988)
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[Publications] Fukami;Matsuoka;Nakanishi;Yamakawa;Kawai;Takenawa: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 85. 9057-9061 (1988)