1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63050009
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石原 武 筑波大学, 物理工学系, 教授 (30111363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 正康 九州大学, 理学部, 助手 (10037210)
渡辺 力 理化学研究所, 主任研究員 (40010714)
森田 正人 大阪大学, 理学部, 教授 (70028091)
赤石 義紀 北海道大学, 理学部, 助教授 (50001839)
鳴海 元 広島大学, 名誉教授 (10033763)
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Keywords | 核融合反応 / ミューオン / ミュー中間子分子 / 組み替え衝突 / クーロン3体問題 / チャネル結合 |
Research Abstract |
ミューオン触核融合に関する以下の研究を行った。 (1)dtμ系における核融合率と、核融合後のμ粒子のα粒子への付着率の精度のよい評価を行った。先ず核融合反応断面積の実験結果を詳細に再現するようなd-t間の複素光学ポテンシアルを決定し、これをクーロン3体問題に組み込んで組み替えチャネル結合法によって(dtμ)分子の束練状態を求めた。核融合率はエネルギーの虜部から決定される。この波動関数を用いて得られたα粒子付着は最近の実験結果とよく一致している。 (2)(dtμ)分子生成率はそのエネルギーの値に敏感に依存する。(dtμ)を点電摘の非相対論的な系とした場合のエネルギーは、我々の組替えチャネル結合法の結果が現在最も正確な値である。これに対する相対論的および量子電気力学的補正の計算を行った.この結果、核が有限の大きさであることによる補正および真空偏極の効果が従来のソ連グループにより値と大きく異なることが判明した。 (3)励起ミューオン原子によって共鳴状態のミューオン分子が形成される可能性を検討した。分子型基底関数を用いた変分計算の結果、ミューオン原子のn=2の準位の下に多くの共鳴状態を見出した。このなかには水素分子の解離エネルギーより浅い状態がいくつかあり、これらを通じてのミューオン分子形成の可能性を指摘した。 (4)(pαμ)等の共鳴ミューオン分子のX線崩壊はミューオン原子からのα粒子へのミューオン移行に関係して重要視されており、現在このX線スペクトルの測定実験が進行中である。そこで(pαμ)等の共鳴状態を変分法によって求め、これを使って放出X線のエネルギースペクトルを計算した。その結果、(pαμ)のスペクトルには主ピークの他には小さな2次ピークが存在することを発見した。またこの状態の寿命は、従来のソ連グループの値の約3倍であることが判明した。
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[Publications] S.Hara;H.Fukushima;T.Ishihara;A.V.Matveenko: Physics Letters A. 130. 22-25 (1988)
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[Publications] K.Kobayashi;T.Ishihara;N.Toshima: Muon Catalyzed Fusion. 2. 191-197 (1988)
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[Publications] M.Kamimura: Muon Calalyzed Fusion. 3. 335-344 (1988)
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[Publications] K.Fukushima;F.Iseki: Physical Review B. 38. 3028-3036 (1988)
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[Publications] T.Ishihara;J.H.Mcguire: Physical Review A. 38. 3310-3318 (1988)
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[Publications] S.Hara: X-ray spectrum due to the de-excitation ot a muonic modecule pαμ. Physical review A.