1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63103004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
氏平 祐輔 東京大学, 工学部総合試験所, 助教授 (40010805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 庄一郎 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (90011080)
永嶺 謙忠 東京大学, 理学部・中間子科学研究センター, 助教授 (50010947)
堂山 昌男 名古屋大学, 工学部, 教授 (40010748)
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Keywords | 低速正ミュオン / 熱ミュオニウム / 熱ミュオニウムの束縛エネルギー / 熱ミュオニウムの光解離 / 表面分析 / 正ミュオンの熱拡散 |
Research Abstract |
eVレベルの低速正ミュオンを発生するプロセスとして1)数MeVのμ^+を高温のダングステン、イリジウムなど仕事関数の小さい元素の薄膜ターゲットに照射し、2)M^+が高温ターゲット中で拡散表面へ2.2S以内で再侵出したのち、3)μ^+が表面で熱ミュオニウム(μ^+ e^- 0.2eV)を形成して真空中へ蒸発する。4)この熱ミュオニウムに波長が244nmのレーザ光を照射して2光子の吸収によって(μ^+e^-→μ^+e^-)解離により低速正ミュオンとするを考え東京大学理学部中間子科学研究センターの高エネルギー物理研究所分室に装置設計して設置し、10^<-10>Torr真空中に50μm厚さのW膜ターゲットを置き、2700Kまで加熱した。タングステン薄膜表面からの熱ミュオニウム(μ^+、e^-)の放出を、μ^+→e^+→2γ(510KeV)で放射するγ線を検出して確認した。μ^+e^-放出の温度依存性は1300K位から徐々に高くなり、2000〜2300Kにゆるやかなピークをもった。アレニウスプロットから熱ミュオニウム(μ^+e^-)の束縛エネルギーは0.66±0.04eVとなることがわかった。加熱タングステン中で停止したμ^+に対する熱ミュオニウム(μ^+e)の生成割合は4±2%と計算できた。μ^+の拡散→μ^+e^-の形成の確立をより効果的にする目的で、e^+に対し負の仕事関数をもつイリジウム薄膜を用いた実験および低速ミュオニウムの解離効率の向上検討を昭和63年度中に行う予定であったが、施設の事情で遅れている。本研究の成果により低速正ミュオン発生の可能性が確認された。この成果に基づいて本研究は、平成元年度の同センターの最大のプロジェクト研究となった。これからa)超微細構造定数やラム・シフトのマイクロ波やレーザー共鳴による精密測定とQEDの検証、b)真空中に生ずるミョオニウム(μ^+e^-)がμ^+→e^-に変わる割合の測定、c)低速ミュオニウムの化学反応d)ミュオニウムと固体表面吸着原子との相互作用や電子状態e)表面原子層の微視的磁場の測定などの研究が可能となった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Kitazawa: Solid State Comm.67. 1191 (1908)
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[Publications] K.Nagamine: Muon Catalyzed Fusion. 2. 73 (1988)
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[Publications] T.Matsuzaki: Muon Catalyzed Fusion. 2. 217 (1988)
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[Publications] 永嶺謙忠: 科学. 58. 423 (1988)
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[Publications] 永嶺謙忠: フロンティア・サイエンスシリーズ(丸善). (1988)
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[Publications] 永嶺謙忠: 日本物理学会誌, 日本物理学会誌, 603-606、701-704 (1988)
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[Publications] 永嶺謙忠: Radioisotopes, Radioisotopes, 63-64 (1988)