1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63106001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 章 北海道大学, 工学部, 教授 (40001185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今本 恒雄 千葉大学, 理学部, 教授 (10134347)
藤澤 有 三重大学, 工学部, 教授 (60115730)
奥 淋 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50027885)
山本 尚 名古屋大学, 工学部, 教授 (10135311)
桑島 功 東京工業大学, 理学部, 教授 (50016086)
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Keywords | ハロボレーション反応 / 不斉マイケル付加反応 / 立体選択的クライゼン転移 / シクロプロビル亜鉛 / カルボニル基へのジアステレオ選択的付加 / アルキルセリウム化合物の付加反応 |
Research Abstract |
分子内Diels-Alder反応は多環式化合物の立体選択的合成法として見直されているが前駆体となるポリエンの立体選択的合成は容易でなく多段階の反応を必要とする。鈴木らはハロボレーション反応とクロスカップリング反応の組合せによりトリエン類を一段階で合成することに成功、天然物に多く見られる多環式化合物の効率的合成法を開発した。桑島らはGrignard試薬の不飽和エステルへの共役付加反応が銅(II)塩により著しく触媒されることを見い出した。アミノ酸で修飾した銅塩を触媒として用いると高い光学収率で触媒的不斉共役付加反応を行うことが可能となった。Claisen転移の反応速度がLewis酸存在下で促進されることは古くから知らされている。山本らはジアリロキシメチルアルミニウムを中心としたかさ高いアルミニウム反応剤を開発、反応剤の種類により転移の立体化学を完全に制御できることを明らかにした。反応の一般性は高く、天然物合成など応用に興味がもたれている。奥らはシクロプロピル亜鉛化合物の合成とクロスカップリング反応について研究し、置換シクロプロパン類の立体選択的合成法となることを見いだした。藤澤らはケトンの近傍に酸素、窒素、イオウなど金属に配位可能なヘテロ原子を導入することによりカルボニル基への有機金属化合物の付加が高立体選択的に進行することを見いだした。金属の種類により配位形式が大きく異なり両ジアステレオマーを選択的に作り分けることが出来る。また今本らはカルボニル基へのGrignard試薬の付加反応を塩化セリウム存在下行うと著しく収率良く進行することを見いだした。この手法はすでに内外の研究者により利用されるようになっており、先の藤澤らの反応にも応用されている。 合成技術に対する要求は益々高度化しているが、これらの研究は有機合成の立体制御に関する研究に大きく貢献したと言える。
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[Publications] Akira Suzuki: Journal of American Chemical Society. 111. 314-321 (1989)
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[Publications] Isao Kuwajima: Pure and Applied Chemistry. 60. 115-122 (1988)
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[Publications] Hisashi Yamamoto: Journal of American Chemical Society. 110. 3588-3597 (1988)
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[Publications] Akira Oku: Journal of Organic Chemistry. 53. 3089-3098 (1988)
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[Publications] Tamotu Fujisawa: Chemistry Letters. 59-62 (1988)
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[Publications] Tsuneo Imamoto: Journal of American Chemical Society. 111. (1989)
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[Publications] Akira Suzuki Ed.by S.Oae: "Reviews on Heteroatom Chemistry" Myu,Tokyo, 1988