1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63112006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 憲作 大阪バイオサイエンス研究所, 神経科学部門, 副部長 (60008563)
伊藤 和夫 京都大学, 医学部, 助教授 (60093184)
根岸 晃六 金沢大学, 医学部, 教授 (00019572)
岩村 吉晃 東邦大学, 医学部, 教授 (20057508)
外山 敬介 京都府立医科大学, 教授 (90090505)
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Keywords | シナプス可塑性 / 発達 / 特徴抽出回路 / 視覚系 / 前庭系 / 聴覚系 / 嗅覚系 / 神経回路モデル |
Research Abstract |
1.研究目的 感覚中枢の特徴抽出回路は、発達期の一定の時期(臨界期)に可塑的に形成され、入力に応じて動作特性を変えることが知られている。本研究はこの特徴抽出回路における可塑性発現のメカニズム解明を目的とする。2.研究経過 津本班員は、視覚野からのアミノ酸の骨出をpush-pull cannulaeと高速液体クロマトグラフィー法を使用して調べた。外側膝状体(LGN)由来の求心線維終末よりグルタミン酸が放出されることを見い出した。外山班員は、新生仔ラットの皮質視覚野にラット胎仔のLGNを移植し、如何なる神経回路が形成されるかを調べた。その結果、LGN細胞が宿主視覚野に軸索を投射すること及び宿主視覚野からの投射線維も移植LGN細胞と正常なシナプス結合を形成することを明らかにした。根岸班員は、コイ網膜で、神経毒を使って神経網膜細胞を破壊するとその後色素上皮細胞または外網状層内に存在する桿体前駆細胞が分裂を開始し神経性網膜を形成することを見い出した。伊藤班員は免疫組織化学法を使いコレシストキニン、P物質等のペプチド含有ニューロンがラットの上丘からLGNへ投射することを発見した。岩村班員は、無麻酔サルで第1次体性感覚野(SI領域)にムシモールを微量注入した結果起こる手指運動異常を詳細に解析した。これらの結果からSI領域は触運動の習熟に密接に関与していることを示唆する結果を得た。3.考察 本年度は視覚系、前庭系、聴覚系、嗅覚系回路網の形成期及び発達期における特異的結合能の存在や異所性シナプスの一時的出現、さらには可塑性に関する興奮性アミノ酸の役割等の重要な発現があった。また、他の感覚系においても可塑性研究の基礎となる重要なデータが得られた。さらい、工学モデルによる特徴抽出回路の構成・動作原理の理解も進展した。以上、特徴抽出回路網の可塑性のメカニズムに関する研究には格段の進歩があった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsumoto,T.et al.: J.Comp.Neurol.271. 30-43 (1988)
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[Publications] Hata,Y.et al.: Nature. 336. 815-817 (1988)
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[Publications] Tsumoto,T.et al.: J.Neurophysiol.327. 513-514 (1987)
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[Publications] Komatsu,Y.et al.: J.Neurophysiol.59. 124-141 (1988)
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[Publications] Negishi,K.et al.: J.Neurosci.Res.20. 246-256 (1988)
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[Publications] Mori,K.et al.: Progress in Neurobiol.29. 275-320 (1987)