1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63203006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
恒藤 敏彦 京都大学, 理学部, 教授 (30025275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水崎 隆雄 京都大学, 理学部, 講師 (20025448)
鈴木 孝夫 京都大学, 理学部, 助手 (00025363)
平井 章 京都大学, 理学部, 助教授 (70025287)
永嶺 謙忠 東京大学, 理学部, 助教授 (50010947)
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
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Keywords | 偏極原子状水素 / 量子ガス / ボーズ・ガス / 偏極ビーム / 偏極標的 / 中間子科学 / 核融合 |
Research Abstract |
1.計画の概要:原子状水素(H〓) は大きな量子効果のため絶対零度においても気体であり、ボーズ凝縮の可能性などを含めて量子気体としてのH〓の物性研究は注目を集めている。H〓ガスの応用研究として大強度偏極ビームや偏極標的など素粒子物理学への応用が考えられ、非常に重要である。しかしながら、H〓は再結合によってH_2分子になるので現在までのところ達成されている密度の最大値は10^<18>/cm^3以下にとどまっている。本研究の目的は、超低温におけるH〓の安定保持とその量子気体の物性研究を行ない、次いでH〓の素粒子物理への応用の可能性を検討することにある。 2.研究経過と本年度の研究実績:61、62年度において大型希釈冷凍機をOxford社に注文し、据え付けとテストを完了。小型の予備実験用希釈冷凍機の製作完了。H_2を低温で放電解離させてH原子を作ることなど基本的な技術を確立した。それらの基礎にたって本年度は(1)超低温で超伝導マグネット(IOT)を用いて磁気的に閉じ込め安定化した。0.5度の温度で密度にして10^<16>/cm^3を時間のオーダーで安定に保持することに成功した。(2)試料室表面を飽和液体ヘリウム膜で覆うことによって表面でのスピンの緩和をおさえることが出来た。(3)0.3Kの温度で電子および核スピンが共に偏極したH┣D2┣D2┫D2状態を作ることに成功した。(4)H〓安定化に重要な再結合機構および核スピン緩和を温度と磁場を変えて詳細に調べた。(5)共同研究社の一人(T.M.)はこの分野で最も活発に研究が行なわれているアムステルダム大に出張し、H〓とHe表面の散乱実験に参加した。今後協同研究の話が進行中。 3.今後の計画:現在、H〓ガスを電界によって圧縮してボース凝縮を起こさせる研究と二次元吸着H〓ガスの研究を検討、準備している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Tsuneto: J.Phys.Soc.Jpn.57. 3499-3505 (1988)
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[Publications] R.Ikeda: J.Phys.Soc.Jpn.58(No.4). (1989)
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[Publications] O.Ishikawa: J.Low.Temp.Physics. 75(NO.1/2). (1989)
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[Publications] Y.Kondo: J.Low.Temp.Phys・. 75(No.5/6). (1989)
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[Publications] M.Hiroi: Phys.Rev.
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[Publications] Y.Masuda: Nuclear Physics. A478. 737c-741c (1988)
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[Publications] 水崎隆雄: "'89 先端科学・技術開発年鑑(偏極水素関係)" 技術出版社, (1989)