1989 Fiscal Year Annual Research Report
飛騨山脈による日本東西社会の文化に及ぼした影響の歴史的考察
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63301048
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
芳賀 登 東京家政学院大学, 人文学部, 教授 (10030280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 肇一 駒沢大学, 文学部, 教授 (70052412)
安藤 万寿男 東海産業短期大学, 学長教授 (90064724)
後藤 新八郎 高山短期大学, 教授 (30141401)
多賀 秋五郎 国士館大学, 文学部, 教授 (10054892)
坪内 庄次 高山短期大学, 名誉教授 (00106072)
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Keywords | 飛騨山脈 / 東西社会の横断 / 地域研究 / 事例研究 / 観光開発 / 自然利用 / 総合科学化 / 米生産高の増大 |
Research Abstract |
地域研究と歴史研究の構造的関連づけのため、研究小グル-プをつくって討議をかさねる方法をこうじた。そのことが教育史的研究を地域研究として深めるなど事例研究に見るべき業績を得ている。さらに一史料所有者の所蔵文書の総合研究を志して、これを軌道にのせ、また、『飛騨後風土記』の史料批判にかなりの成果をあげている。さらに人口統計、産業統計その他の比較研究を通じて、本テ-マへのアプロ-チを進める形で成果をあげた。かたわら、飛騨の地域社会像研究を通じて、地域的特徴をあきらかにするなど、今まで、あまり用いられていない資料の発掘、城郭縄張りの調査を通じた豪族支配の研究等を古地図復原と関わらせた仕事にも見るべきものがある。全体的にいって、本総合研究は、次第に時代を下げて、近・現代照射の方向づけが試みられている。 高山の観光開発が、乗鞍観光開発から奥飛騨観光開発へと、次第に変質するのか、東西社会の横断とそれがどうかかわるのか、その問題に関心が深まっている。高山線の開通、糸魚川・大町線開通とそれがどうかかわるのか、安房峠トンネル開さくとのかかわりなど、具体的に飛騨山脈による日本東西社会に及ぼした影響が問われる。北アルプス開発とのかかわり、夏山・冬山登山等とのかかわりも少なくない。その上に、民俗調査、社会調査との研究成果の交流が期待される。とくに奥飛騨温泉の成立プロセスを明確にし、高地における米生産高の増大、水田化が進んだ時期、それが頭打ちとなった時期との関連、さらにカロリ-計算よりすると、雑食の高カロリ-性等、考えるべき問題が多い。自然利用のあり方の見直しをも考えると、歴史研究における自然利用について踏み込んだ検討の要を認識することとなった。その面での具体化が、今後おしすすめるべき課題といってよいのではないか。学問の総合科学化と関わる方向づけが必要。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 坪内庄次: "近世飛騨国人口論(総括)" 地理学報告. 68. 20-25 (1989)
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[Publications] 阿部肇一: "白山信仰考" 本年次研究報告書. 2-7
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[Publications] 磯辺武雄: "学制実施における学区取締に関する一考察-飛騨地方を中心として-" 本年次研究報告書. 11-18
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[Publications] 安藤万寿男: "明治二〜四年頃の飛騨の養蚕業" 本年次研究報告書. 8-10
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[Publications] 井原政純: "飛騨山脈を中心とする口留御番所にみる東西社会の産業文化交通について-とくに上ケ洞口を中心に-" 本年次研究報告書. 19-24
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[Publications] 岩崎宏之: "飛騨神岡鉱山近代化の技術的基礎" 本年次研究報告書. 25-27
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[Publications] 鈴木健一: "飛騨・加賀における洋学教育導入の比較考察" 本年次研究報告書. 28-30
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[Publications] 坪内庄次: "人口と食糧問題(第二報)" 本年次研究報告書. 31-32
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[Publications] 谷口研語: "三木氏関係の山城について" 飛騨史学. 10. (1990)
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[Publications] 谷口研語: "長享の将軍親征と美濃守護士岐氏" 『多賀秋五郎博士喜寿記念東アジアの教育と文化』(巌南堂). (1989)