1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63301073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三谷 太一郎 東京大学, 法学部, 教授 (10009798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 茂徳 新潟大学, 教養部, 助教授 (50107497)
鈴木 薫 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (50162962)
北岡 伸一 立教大学, 法学部, 教授
我部 政男 琉球大学, 短期大学部, 教授 (90045188)
萩原 宜之 独協大学, 法学部, 教授
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Keywords | 近代化 / 軍事化 / 効率化 / 文民統制 / 軍政 / 政治文化 |
Research Abstract |
昭和63年度研究計画は予定通り(あるいは予定を超えて)実行され所期の成果を挙げた。共同研究集会は合宿研究会を含めて7回を予定していたが、実際には9回行われ、次のような知見を得た。まず「1930年代日本における政軍関係」をテーマとした研究会では、「近代化」と「軍事比」とが「効率化」という面で重なり合い、そのことが同時代の日本の知識人の「軍事化」への関心を動機づけたという指摘がなされた。「戦後日本の『文民統制』の限界」をテーマとする研究会では、防衛庁内局による事実上の「文民統制」が具体的な次行計画や戦略オプションに及びえない限界が指摘された。「日本陸軍における〈支那通〉について」をテーマとする研究会では、日本陸軍内の中国専門家の組織・心理両面にわたる特徴と具体的な政策決定との関係が明らかにされた。 「プリモニデニリベーラ独裁政と政軍関係」及び「二つの軍事蜂起のはざまでオースマン帝国1826〜1908年-」をそれぞれテーマとする研究会では、そのぞれスペインというヨーロッパ周辺部及びトルコというヨーロッパ隣接部における軍の政治化がいかにして行われたかが明らかにされた。「終戦・占領初期の沖縄の地位」及び「米軍政下韓国における政軍関係」をぞぞれテーマとする研究会では、共に米国軍政下に置かれた沖縄及び韓国における政軍(ないし民軍)関係の特徴が民族間関係との重なり合いの中で明らかにされた。 「東南アジアの政軍関係」、「フィリピン『革命』における政軍関係」及び「インドシナ諸国に見る政軍関係」をそれぞれテーマとする研究会では、総じて政軍の制度的分離と機能的一体性との矛盾から生ずる様々の問題が指摘された。政軍関係の発生それ自体が「近代化」の微表であるとの認識が得られた。来年度はそれぞれのテーマについてさらに研究が重ねられ、日本政治学会年報所収論文が完成される予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 酒井哲哉: 年報・近代日本研究. 10. 230-246 (1988)
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[Publications] 藤原帰一: 社会科学研究. 40. 2-94 (1988)
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[Publications] 北岡伸一: "後藤新平 外交とヴィジョン" 中央公論社, 1-252 (1988)
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[Publications] 三谷太一郎: "犬童一男・山口定・馬場康雄・高橋進編 戦後デモクラシーの成立" 岩波書店, 99-150 (1988)