現代世界経済の編成と国際労働力移動

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63301080
• Research Institution: University of Tokyo
• Principal Investigator: 森田 桐郎 東京大学, 経済学部, 教授 (40014740)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 竹野内 真樹 東京大学, 経済学部, 助教授 (10143356) ; 伊豫谷 登士翁 東京外国語大学, 助教授 (70126267) ; 室井 義雄 専修大学, 経済学部, 教授 (90146952) ; 尾上 修悟 西南学院大学, 経済学部, 教授 (20148852) ; 小川 雄平 西南学院大学, 商学部, 教授 (50122635)
• Keywords: 移民 / 外国人労働者 / 労働市場のセグメンテ-ション / 世界都市 / 都市インフォ-マルセクタ- / 世界的産業再編成 / 新国際分業

Research Abstract

1.本研究は昭和63年度から平成2年度までの3年間の計画で実施されている。最終年度の本年度は、京都での合宿研究会において、「世界労働市場の形成と性別分業・性差別」および「工業社会・市場経済としての近代社会の構造と世界」を主な議題としつつ、国際労働力移動の構造と理論に関する総括的討論を行なった。
2.研究成果の一部として、『国際人口移動・労働力移動に関する統計資料』を作成した。同『統計資料』は大きく、歴史編と現代編から構成されている。歴史編では、(1)奴隷貿易、(2)19世紀大西洋移民・送り出し国、(3)同・受け入れ国、および(4)インド人労働移民の4項目について、現代編では、(1)アメリカ合衆国、(2)西ヨ-ロッパ諸国、(3)日本、(4)アジア、(5)サハラ以南アフリカ、(6)ラテンアメリカ、(7)中東産油国、(8)国際労働移動における女性、および(9)世界の難民の9項目について、合計145表の基礎的統計資料を収集・整理した。また、各項目には簡単な解題を付し、各時期・各地域ごとの特徴を明らかにすることを試みた。同『統計資料』は、その対象時期、対象地域のカバリッジの広さから鑑みて、他に類書がない貴重な統計資料集であると考えられる。
3.同じく、研究代表者を編者とし、8名の研究会メンバ-が参加した論文集、『労働は国境を超える』の執筆を終えた。同書では、まず編者が現代の国際労働力移動に関する理論的総括を提示した後、ヨ-ロッパ、アメリカ、中東諸国、アジア諸国、および日本を対象として歴史的・実証的分析を行ない、さらに、女性移民問題、生産様式接合、および労働力移動と資本移動という視角から理論的分析を試みた。このように、同書は、国際労働力移動に関する実証研究の成果を踏まえつつ、その理論的分析を強く志向したユニ-クな研究書であり、同文舘出版から近く公刊する予定である。

Research Products

• [Publications] 森田 桐郎: "「資本の国際化・新国際分業・世界労働市場(2)」" 『経済学論集』(東京大学). 56ー2. 60-72 (1990)
• [Publications] 室井 義雄: "「ナイジェリアにおける都市社会:首都ラゴスの『底辺社会』について」" 『アジア経済』. 31ー8. 75-98 (1990)
• [Publications] 伊豫谷 登士翁: "「いわゆる『半賃金労働者』範疇について」" 『特定研究報告』(東京外国語大学海外事情研究所). 15号. (1991)
• [Publications] 式部 信: "「現代の移民企業:現状と起源」" 『広島県立大学紀要』. 1ー1. 126-140 (1990)
• [Publications] 式部 信: "「労働市場とジョブ構造」" 『経済学雑誌』(大阪市立大学). 91ー1. 53-69 (1990)
• [Publications] 式部 信: "「移民還流について」" 『広島県立大学紀要』. 2ー1. (1991)
• [Publications] 吾郷 健二: "「経済危機とメキシコ農業」" 『経済学論集』(西南学院大学). 25ー4. (1991)
• [Publications] 竹野内 真樹: "「1950年代の西インドからイギリスへの移民」" 『経済学論集』(東京大学). 56ー2. 24-42 (1990)
• [Publications] 竹野内 真樹: "「イギリスにおける移民労働者問題」" 『農林統計調査』. 40ー10. 15-19 (1990)
• [Publications] 小川 雄平: "「東北アジア地域経済交流の時代」" 『地域開発』. 308号. 2-8 (1990)
• [Publications] 真瀬 勝康: "「C・メイヤス-の還流的移民論と労働力排出の論理」" 『札幌大学女子短期大学部紀要』. 15号. 1-9 (1990)
• [Publications] 木前 利秋: "「移民労働者考」" 『情況』. 9号. 75-85 (1991)
• [Publications] 森田 桐郎: "『経済学辞典』(第三版)(「国際労働力移動」)" 岩波書店, (1991)
• [Publications] 伊豫谷 登士翁: "『国際政治経済辞典』(「国際労働力移動」)" 東京書籍, (1991)
• [Publications] 森田 桐郎(編): "『労働は国境を越える』(第1章 森田桐郎「現代の国際労働力移動」)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 木前 利秋: "「ヨ-ロッパの苦悩・移民の苦悩」『労働は国境を越える』(森田桐郎編、第2章)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 式部 信: "「移民の国アメリカ」『労働は国境を越える』(森田桐郎編、第3章)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 長沢 栄治: "「『石油の富』と移民労働」『労働は国境を越える』(森田桐郎編、第4章)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 平川 均: "「農村から都市へ・都市から農村へ」『労働は国境を越える』(森田桐郎編、第5章)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 久場 嬉子: "「女性と移民労働」『労働は国境を越える』(森田桐郎編、第7章)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 室井 義雄: "「生産様式の接合と労働力移動」『労働は国境を越える』(森田桐郎編、第8章)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 伊豫谷 登士翁: "「労働力の移動と資本の移動」『労働は国境を越える』(森田桐郎編、第9章)" 同文舘, (1991)
• [Publications] 植松 忠博: "『日本の選択:国際国家への道』" 同文舘, 359 (1990)
• [Publications] 平川 均(朴 一と共編): "『アジア資本主義の現段階:NIES論の再構築に向けて』" 広島大学平和科学研究センタ-, 127 (1990)
• [Publications] 長沢 栄治(編): "『東アラブ社会変容の構図』" アジア経済研究所, 251 (1990)
• [Publications] 長沢 栄治: "「都市化と社会的連帯ー上エジプト農村とアレキサンドリア市港湾労働者社会の比較」『中東の人々と社会意識』(加納弘勝編)所収" アジア経済研究所, (1991)
• [Publications] 長沢 栄治: "「世界綿業の展開とエジプト農村の労働者問題」『世界の構造化』(川北稔編)所収" 岩波書店, (1991)