わが国における交通システムと地域システムの関係に関する地理学的研究

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63301096
• Research Institution: University of Tsukuba
• Principal Investigator: 奥野 隆史 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10092511)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 加賀美 雅弘 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (60185709) ; 村山 祐司 筑波大学, 地球科学系, 講師 (30182140) ; 手塚 章 筑波大学, 地球科学系, 講師 (60155455) ; 田林 明 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (70092525) ; 高橋 伸夫 筑波大学, 地球科学系, 教授 (50015773)
• Keywords: 交通システム / 地域システム / 長大交通幹線 / 交通の地域インパクト / モ-タリゼ-ション / Lowryモデル / 首都圏 / 拡散現象

Research Abstract

本研究は、新幹線や高速道路などの長大交通幹線の建設および既成の鉄道・道路網の改良・整備あるいは自動車の普及といった最近における急激な交通システムの変化が、地域の社会・経済・文化の諸側面に対して如何なる影響を与えたか、またそれらの諸側面の変化が交通システムに対して如何なるインパクトを与えたか、換言すれば交通システムと地域システムの相互関係を明らかにすることを目的としている。この目的を達成するに際して地域のスケ-ルを区別し、また地域の諸側面を経済的なものと社会・文化的なものとに区別し、理論的な方法と実証的な方法の併用を行なった。その結果として本年度の解明内容は次のようにまとめることができた。
1全国的規模の関係について:交通と土地利用の関係に関する理論モデルとしてはLowryモデルのバ-ジョンが最適であること、地域間人口移動や労働力移動は交通網の伸展に応じての巨大都市からの拡散現象として捉えうること、戦前のモ-タリゼ-ションもまた同様の傾向と考えられること。
2東日本規模の関係について:交通と農業・商業また生活形態との関係は、首都圏における東京での変化が距離関数として作用し、その変化が外縁部に浸透するパタ-ンで影響を与えることが水海道・岩井・土浦などでみられること、青森下北地方においても同様のことがみられるが、その地方固有の特徴が首都圏の変化傾向に強く加味されていること。
3西日本規模の関係について:所謂過疎地においては交通の変革は老人問題にも影響をおよぼしていること、余暇行動が交通発達にともなう距離短縮によって各地に浸透し、同心円的な観光地形成が行なわれていること。

Research Products

• [Publications] 奥野隆史: "福島県中通り浜通り地方における近接性の時系列的変化" 地域調査報告. 11. 1-12 (1989)
• [Publications] 奥井正俊: "大正・昭和戦前期にお刑る自動車の普及過程" 新地理. 36. 30-38 (1988)
• [Publications] 根田克彦: "大規模小売店の立地を契機とする周辺商業地の変化-釧路市新橋大通商店街を例に-" 東北地理. 41. 148-159 (1989)
• [Publications] 上野健一: "高齢就業者の産業構成からみた中国地方都市のタイプ" 大東文化大学経済論集. 48. 1-19 (1989)
• [Publications] 大関泰宏: "福島県における都市人口移動の地域的差異" 地域調査報告. 11. 83-91 (1989)
• [Publications] 村山祐司: "わが国における人口移動の時空間システム" 人文地理学研究. 14. 169-188 (1990)