1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63304024
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河本 馨 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎並 淳平 独協医科大学, 講師 (30112634)
酒井 仙吉 東京大学, 農学部, 助教授 (80114487)
長澤 弘 明治大学, 農学部, 教授 (10076987)
横山 昭 名古屋大学, 農学部, 教授 (50023388)
小峰 仙一 杏林大学, 医学部, 教授 (40086484)
|
Keywords | 乳癌細胞 / 細胞株 / ホルモン依存性 / フィブロネクチン / ラミニン / 培養基質 / 乳腺 / 妊娠依存性乳腺腫瘍 |
Research Abstract |
1)マウス乳癌細胞を単層培養法による培養し、発癌プロモーターTPAを加えたところ、添加30分後に顕著な細胞形態の変化が観察され、その後細胞増殖が誘導された。このTPAによる増殖促進効果はEGFによる増殖促進効果と相加的であった。また、コラーゲンゲル内包埋培養では、乳癌細胞はTPAにより繊維芽細胞様の樹状形態をとり、細胞増殖効果が観察された。しかし、EGFによる増殖促進効果はTPAの存在により抑制された。これらのことから、細胞培養基質の違いにより、細胞増殖因子は異なった効果をもたらすことが示唆された。2)マウス乳腺は癌化と共にホルモン依存性を喪失する。この増殖の自律化は、癌細胞による成長因子の産生能獲得によるかもしれない。このようなオートクリン・パラクリン調節を調べるために、マウス乳癌細胞からの細胞株樹立を試みた。10の株細胞にフィブロネクチンとラミニン産生を認めたが、テネイシンの産生パターンには株細胞間に相違がみられた。また、インスリン非依存性の株は1株しかなく、EGF非依存株は3株あった。3)乳腺におけるホルモンの作用機序とカルシウム移動との関係を調べるためには、細胞器官の分画が必須の技術であり、細胞器官の分画を試みた。肝細胞の分画法により乳腺細胞器官を分画し、電子顕微鏡により確認中である。4)プロラクチンのレセプターについては2種類存在することが示唆された。5)GR/A系マウスは妊娠中期以後に妊娠依存性乳腺腫瘍を発生するが、分娩と同時に消失する。GR/A系マウスの泌乳能力は産次と共に低下する。マウスを45-50日令で交配し腫瘍の有無により2産次に母マウスを2群に分けた。腫瘍群では対照群に比べ、12日令子体重、増体率および乳腺中の核酸含量が低い値を示した。腫瘍の発生自体が乳腺の実質量を低下させ、泌乳に抑制的に働くものと思われる。6)スンクス乳腺の器官培養系は確立したが、細胞培養系の確率にはなお事実を要すると思われる。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Mori,Tisato 他: Acta Histochemistry and Cytochemistry. 21. 143-148 (1988)
-
[Publications] Murakami,Hiroshi 他: Biochemical Journal. 256. 917-922 (1988)
-
[Publications] Sakai,Senkiti 他: Biochemical Journal.
-
[Publications] Nagasawa,H.;Konishi,K.: Eur J.Cancer Clin Oncol. 24. 803-805 (1988)
-
[Publications] Nagasawa,H. 他: Exp Clin Endocrinol. 91. 85-90 (1988)
-
[Publications] Nagasawa,H. 他: Life Sci. 42. 2483-2488 (1988)
-
[Publications] Nagasawa,H.(ed): "Prolactin and Lesions in Breast,Uterus and Prostate" CRC Press Inc,Boca Raton, 1-229 (1989)
-
[Publications] 安西正・小峰仙一: "チャート式生化学" 医学評論社,