1988 Fiscal Year Annual Research Report
細菌表層成分の分子構造と感染宿主生体反応調節作用に関する総合研究
Project/Area Number |
63304036
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
矢野 郁也 大阪市立大学, 医学部, 教授 (60047008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天児 和暢 九州大学, 医学部, 教授 (20078752)
金政 泰弘 岡山大学, 医学部, 教授 (80033059)
三輪谷 俊夫 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029759)
中江 太治 東海大学, 医学部, 教授 (50102851)
横田 健 順天堂大学, 医学部, 教授 (10052953)
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Keywords | 細菌表層タン白質 / 細胞膜脂質 / テイコ酸 / 両親媒性物質 / リポ多糖 / 病原細菌定着因子 / 薬剤透過障害因子 / 感染防御抗原 |
Research Abstract |
細菌外膜の薬剤障壁性については薬剤自然耐性グラム陰性菌外膜の抗生物質透過性について検討し、その機構を明らかにした(中江ら)。メチシリン、セフエム耐性ブドウ球菌の細胞壁合成阻害反応についてはその機序の解明を行なうため遺伝子クローニングの面より検討した(横田ら)。グラム陰性腸管感染原因菌の定着因子については、従来のpili以外の新しい因子をみいだし、その性質を明らかにした(三輪谷ら)。これと関連してグラム陰性菌感染の要素であるpiliのレセプターであるsphigoglycolifid の糖鎖に対する認識機構を明らかにした(金政ら)。又病原大腸菌(EPEC)の附着性因子については遺伝子レベルでの解析を行なった(林ら)。グラム陽性菌については、ブドウ球菌のプロテインAを始めとする新しい表層病原因子を調べる目的で、白血球の食作用による細菌表層上のプラーク形成について、及び抗体感作HeLa細胞による黄色ブドウ球菌の取り込みについて検討し、各々興味ある結果を得た(益田ら)。同じくブドウ球菌については、細胞壁タンパクのもつ感染防御抗原活性の分析を行なう目的で、各種分離菌より細胞壁タンパクを抽出分離し、二次元電気泳動法により解析した結果黄色ブドウ球菌に特異的な新しい成分がみいだされた(天児ら)。Clostridius属では、細胞壁タン白質の分子構築と、感染における機能を特に45Kと32Kタン白を中心に検討し、ペプチドマップを作製した(川田ら)。ペプチドグリカン成分については、合成MDPと細胞内毒素の相乗作用をしらべ、嫌気性菌Bacteroides属のLPSについて検討した(高田ら)。これと関連して抗酸菌の新しい表在性LPS様両親媒性物質の本体と免疫薬理作用についても検討した(田村ら)。一方リポタイコ酸についてもTNFやIL-1誘導活性と構造相関を調べた(加藤ら)。抗酸菌の最小特異的な成分であるミコール酸含有糖脂質の構造と免疫薬理学的生理活性の相関を明らかにし、TNF、IFN、IL-1、CSF、肉芽腫形成能、抗腫病性に必須な構造をみいだした(矢野)。
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[Publications] Masuda,K.;Itoh,M.;Kawata,T.: Microfiol.Immunol.;33(4). 33(4). (1989)
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[Publications] 平松啓一、鈴木映子、高山弘美、横田健: 日本細菌学雑誌. 44(1). 125 (1989)
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[Publications] 関啓子、小笠原正美、櫻田純次、村井美代、益田昭吾: 日本細菌学雑誌. 44(1). 318 (1989)
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[Publications] 本田武司、小口富明、Wetprasit,N.、有田美知子、三輪谷俊夫: 日本細菌学雑誌. 44(1). 331 (1989)
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[Publications] 石井純子、佐竹幸子、中江太治: 日本細菌学雑誌. 44(1). 471 (1989)
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[Publications] Yokoi,F.;Sugimoto,N.:Kato,Y.;Kaueda,K.;Shiro,O.;Yano,I.: Yakugaku Zasshi. 109(1). 46-51 (1989)
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[Publications] Yano,I.;Oka,S.;Natsuhara,Y.;Kato,Y.;Tomiyasu,I.;Kaneda,K.: "Molecular structure and immunopharmacological activities of the new glycolipids containing mycolic acids in Actinomycetales in Biology of Actinomycetes 188" Japan Scientifie Societi Press, 469-477 (1988)