1989 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達機構・細胞内情報伝達系からみた感情障害の研究
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63304044
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
樋口 輝彦 群馬大学, 医学部, 助教授 (90105883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 治男 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10158959)
加藤 進昌 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10106213)
野村 総一郎 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助教授 (80113091)
朝倉 幹雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (70103504)
三国 雅彦 国立精神, 神経センター神経研究所, 室長 (00125353)
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Keywords | 抗うつ薬 / GTP結合 / イノシト-ルリン脂質代謝 / セロトニン受容体 / β受容体 / GABA受容体 / イミプラミン結合 / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
本年場は昨年度の成果に加えて、更に新たな研究成果が得られた。以下にその概略を記す。1.(1)抗うつ薬は^3H-GTPの親和性を低下させ、特異的結合量を増加させる。精製したGo蛋白のGTPase活性を抗うつ薬が増加させる。(2)抗うつ薬の長期投与はβ受容体とcouplingしたGs蛋白質と触媒部位の相互作用を促進する。(3)リチウムは受容体を介するcAMP,cGMP生成に対して抑制効果を持つ。またリチウムはイノシト-ルリン酸の代謝を抑制する。以上の結果から抗うつ薬には細胞内情報伝達系への直接作用があることが示唆された。2.イミプラミン結合部位を可溶化し、これを用いてその結合を阻害する各種薬剤の阻害力を検討した結果、イミプラミン結合の一部はセロトニン再取り込み機構以外の部位にも存在する可能性が示された。3.リチウム、カルバマゼピンの慢性投与がラット海馬のGABA_B受容体数を増加させることが明らかとなった。4.昨年度、うつ病患者血小板におけるセロトニン刺激性イノシト-ルリン脂質代謝亢進を明らかにしたが、本年度は細胞内カルシウムイオンの遊離を検討し遊離の促進が見られること、すなわち、うつ病のなかにはセロトニン受容体(5HT_2あるいは5HT_<ic>の可能性が考えられる)以後の過感受性を示すものがあることが示唆された。 平成元年度においても、昨年度に引き続き、5月と10月に報告会を行った。研究成果をproceedingsとして昨年同様J.J.P.Nに掲載した。また、これまでの本総合研究の成果を『躁うつ病の薬理・生化学』(I)としてまとめた。平成2年度は本総合研究の最終年度にあたるの、『躁うつ病の薬理・生化学』(II)を出版し(I)(II)を併せて最終報告書とする予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] "Proceedings for the 5th workshop for the Biochemical and Pharmacological Research on Affective Disorders" The Japanese Journal of Psychiatry and Newrology.
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[Publications] 躁うつ病の薬理・生化学的研究懇話会編 編集責任:高橋清久・樋口輝彦・加藤進昌・三国雅彦: "躁うつ病の葉理生化学[I]" 金剛出版, 166 (1989)