1988 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔の圧拮抗、膜成分と麻酔薬との相互作用に対する加圧の効果
Project/Area Number |
63304047
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉矢 生人 大阪大学, 医学部, 教授 (80028505)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 忠義 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (70024320)
真下 節 大阪大学, 医学部, 講師 (60157188)
谷口 吉弘 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066702)
末崎 幸生 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80069484)
金品 昌志 徳島大学, 工学部, 教授 (80035617)
|
Keywords | 麻酔薬 / 揮発性麻酔薬 / 麻酔機序 / 圧拮抗 / 高圧 |
Research Abstract |
本研究の目的は、膜成分の脂質または蛋白質をモデル系として、その構造および機能における麻酔薬の作用とそれに対する加圧の拮抗作用を調べ、熱力学的解説によって麻酔機序の解明に迫ることである。このテーマで総合研究として多くの研究機関と共同して研究を行った理由は、各研究機関が独自に所有する加圧装置付測定装置を用いて得られた麻酔と加圧のデータを集めて総合的に解析する必要があったためである。その結果、昭和63年度において下記のことが明らかになった。 1.蛍光物質を結合させた燐脂質に対する麻酔薬の作用と加圧の効果についての蛍光光度法による研究(香川医科大学、横野ら)燐脂質膜小胞にシアニン系蛍光色素を吸着させ、石英の加圧セルにて蛍光スペクトルを測定し、麻酔薬の膜粘性や誘電率に対する作用を検討した。その結果、麻酔薬によって、膜の誘電率の上昇と粘性の低下が起こり、この変化は加圧によって拮抗された。 2.界面化学の立場から、ミセルの物性に対する麻酔薬の作用と加圧の効果についての研究(九州大学、金品) 界面活性剤が水中で形成するミセルは膜の最も単純なモデルと考えられる。界面活性剤の最小ミセル形成濃度(CMC)の電気伝導法による測定の結果、揮発性麻酔薬によってCMCは濃度依存的に低下した。また、麻酔薬によるCMCの低下は加圧によって拮抗された。 3.可視吸光光度法および可視円二色法(CD)による、膜蛋白質の麻酔薬による構造変化と加圧の効果についての研究(大阪大学、真下) モデル蛋白質として、菌体膜中で紫膜として二次元的な結晶構造を形成しているバクテリオロドプシン(BR)を用いた。BRの吸収スペクトルの結果、揮発性麻酔薬によって560nmの吸収極大が減少し480nmの吸収が増大した。さらに、これらの吸収スペクトルの変化は加圧によって拮抗された。 以上の多施設による研究の成果を持ち寄り、本研究の一環として平成元年7月15-16日の麻酔メカニズム研究会において「麻酔の圧拮抗」について討論の場を持つ予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 末崎幸生、白浜啓四郎 他: 生物物理. 28. 22-27 (1988)
-
[Publications] Yoshihiro,Taniguchi.: J.Mol.Catalysis. 47. 323-334 (1988)
-
[Publications] 内田一郎、真下節: 麻酔と蘇生.
-
[Publications] 塚本郁子、横野諭 他: 麻酔と蘇生.