1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63308023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 日出男 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 道夫 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (00126004)
島田 和典 熊本大学, 医学部, 教授 (40037354)
大坪 英一 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (10158800)
柴田 武彦 理化学研究所, 主任研究員 (70087550)
小川 英行 大阪大学, 理学部, 教授 (70028207)
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Keywords | 遺伝的組換え / トランスポゾン / 遺伝子のターゲッティング / 大腸菌 / 哺乳動物 / 遺伝子の人工的改変 / 改変遺伝子の各種細胞への導入 / キメラ個体の作成 |
Research Abstract |
この総合研究(B)では、二回にわたる班会議と遺伝的組換えに関するワークショップを開き、現在の日本のバイオサイエンスの動向とこれからの問題点が活発に討議された。具体的には、11の分野に分けて調査を行い、三つの研究分野(遺伝的組換え反応の基礎的研究、トランスポゾンによる遺伝子のターゲッティング、哺乳動物における遺伝子のターゲッティング)に統合し、重点領域研究を申請することになった。その結論の要点は次のとうりである。大腸菌や酵母では、人工的に改変した遺伝子を元の細胞へ戻すことができるようになっており、これら一連の技術によって遺伝子を自由に操ることが可能になり遺伝子の生物機能の解明に大きく貢献した。この技術は、遺伝子ターゲッティグ(gene targeting)、あるいは標的組込み(targeted integration)と呼ばれる。もしこの遺伝子ターゲッティングが高等動植物でも可能になり、その遺伝子を自由自在に改変することができるようになれば、これまで蓄積されてきた各種遺伝子に関する情報が一挙に利用されて、高等生物の生命現象に関する数多くの謎が明らかにされると思われる。さらにまた、有用物質生産や医療の方向への研究が発展すると考えられる。ここに新しい重点領域研究の可能性が生まれ、従来の組換えDNA実験技術に対して、新しい細胞内遺伝子組換えに基ずく動植物の遺伝情報改変実験技術の開発を最終目標とする研究領域が設定された。これはいわば複合技術であって、その操作としては、遺伝子の人工的改変、改変遺伝子の各種細胞への導入、生体内の各種の組換え機構を利用した組換え細胞の作成と選抜、初期胚への遺伝子の導入、キメラ個体の作成などが含まれる。その意味から、本研究では遺伝的組換えの基礎的研究を数多く含めることが必要であり、これらを基礎として遺伝子ターゲッティングの研究を進めていく必要があることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Y.-S.Bae;I.Kawasaki;H.Ikeda;L.F.Liu: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 85. 2076-2080 (1988)
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[Publications] K.M.Saing;H.Orii;Y.Tanaka;K.Yanagisawa;A.Miura;H.Ikeda: Mol.Gen.Genet.214. 1-5 (1988)
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[Publications] K.Kawakami;Y.H.Jonsson;G.R.Bjork;H.Ikeda: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 85. 5620-5624 (1988)
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[Publications] I.Kawasaki;S.Sugano;H.Ikeda: Proc.Natl.Acad.Sci.USA.
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[Publications] M.Tomono;M.Schiozaki;H.Ikeda: J.Biochem.
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[Publications] M.Chiba;H.Shimizu;A.Fujimoto;H.Nashimoto;H.Ikeda: J.Biol.Chem.
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[Publications] 池田日出男 他: "核酸シグナル実験マニュアル" 講談社サイエンティフィック, (1989)
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[Publications] 池田日出男 他: "分子生物学の進歩 第1巻 DNAの構造と動態" 丸善, (1989)