1988 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける都市の形態と構造に関する歴史地理学的研究
Project/Area Number |
63410016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金田 章裕 京都大学, 文学部, 助教授 (60093233)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 和也 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (60027547)
礪波 護 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10027534)
松田 隆典 京都大学, 文学部, 助手 (90199802)
青木 伸好 京都大学, 教養部, 助教授 (30067631)
足利 健亮 京都大学, 教養部, 教授 (90026823)
|
Keywords | 条坊プラン / 郭 / 条 / 坊 / 形態 / 構造 / 太宰府 / 条里プラン |
Research Abstract |
本年度はまず、研究代表者および各研究分担者が、それぞれの分担課題にかかわる研究成果の収集とその整理を中心として作業を進めた。その結果、アジア各地の都市の分析を進めるために必要な文献をかなりの程度まで収集することができ、次年度に向けての研究の準備が整いつつある。 一方、本年度の共同調査地として選定した太宰府については、従来の通説とは異なる次のような実態が明らかになった。 (1)太宰府の条坊プランは、地表の地割遺構から約100メートルを基本単位とする方格プランであると推定され、これが文献史料および発掘された道路・溝等の遺構からも支持されること。 (2)一辺約100メートルの「坊」を単位とし、左郭・右郭それぞれ1〜22条、1〜12坊からなる太宰府の条坊プランの完成は、10世紀中頃以後と考えられ、藤原純友の乱以後に再建され、最も完成度の高い第III期政庁の時期と対応する。太宰府の機構からみても、この時期には各種の「所」ないし「司」が充実していたとみられ、それらの所司田の表示・確認の手段として数詞の条・坊の必要性が推定しうる。 (3)10世紀中頃までは、主要施設等を目標とした四至による表示または固有名詞による表示が行なわれた可能性が高く、藤原京と類似した表示パターンを維持していた可能性がある。 (4)8〜10世紀中頃の太宰府は、政庁を軸としたいくつかの施設群(これを郭と呼んでいた可能性がある)・観世音寺・博多津・鴻臚館等の散在した機構が機能的に結びついて構成されていたものであると推定され、府域は10世紀後半以後のものと異なった様相を示していた可能性が高い。府域を形成する必要性の一つは、多くの職分田の設定にあったとみられる。
|
Research Products
(1 results)