1989 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ波ESRによるガラスの局在フォノン「フラクトン」の研究
Project/Area Number |
63420011
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本河 光博 神戸大学, 理学部, 教授 (30028188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利根川 孝 神戸大学, 理学部, 教授 (80028167)
野尻 浩之 神戸大学, 理学部, 教務職員 (80189399)
太田 仁 神戸大学, 理学部, 助手 (70194173)
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Keywords | フラクトン / 局在フォノン / ガラス / サブミリ波ESR |
Research Abstract |
本研究は申請の段階に於て3年計画であったが、採択された折2年間のみ補助金の交付が認められた。初年度は主として実験設備の整備、試料の製作等がなされ、本年度に本格的な測定が行われる予定であったが諸事情のため遅れ、やはり申請の段階に述べたように3年計画で研究が遂行されるようことが進んでいる。 ガラスのような非晶質な物質の物性を普遍的に理解するためフラクタルという概念が取入れられ、非晶質系でのフォノンについて、フラクトンと名ずけられる局在モ-ドが見つけられた。本研究では、十分低温でこの局在フォノンのエネルギ-に対応するサブミリ波領域でのESRを用い、そのスピン格子緩和時間の測定からフォノンの状態密度を直接求めフラクトンの存在を明確にすることを目的とする。試料として典型的なガラスとして知られるB_2O_3、GeO_2、SiO_2をとりあげる。これらを白金るつぼで1000度以上で溶融して、g-値の異方性の小さいV Ti MnCu等の鉄族元素の酸化物を0.1%程度に薄く混入した試料を作った。それら不純物イオンのESRを観測する。この実験ではESRの共鳴磁場は10テスラ-以上になるためパルス強磁場を用いて実験を行う。これに必要な設備は揃った。またその他必要な装置の開発もなされ、磁場変調およびロッキンアンプを用いた高感度サブミリ波ESR装置も完成した。しかし初年度ωが320ー400GHz帯の波長域を発振するカルシノトロンを購入し、本年度は200ー250GHz帯のものを購入したが、納期がかかったこと及びメ-カ-であるトムソン社による必要電圧などの仕様の変更がなされ、当初購入した電源ではそのままでは追従できなくなり、若干の改造を行ったりしたため時間がかかり本格的な実験までにいたらなかった。年度末の現在、装置は順調に働いており、当初申請時に計画した3年目には研究が遂行される。
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[Publications] M.Motokawa: "Production of Repeating Pulsed High Magnetic Field" Physica. B155. 39-43 (1989)
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[Publications] M.Motokawa: "An Idea for Easy Construction of High Field Magnet" Physica. B155. 96-100 (1989)
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[Publications] M.Motokawa: "Submillimeter ESR of Cs Fe Cl_3 in a Pulsed High Magnetic Field" Physica. B155. 340-344 (1989)
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[Publications] H.Ohta: "FIR Absorption Spectra of Linear Chain Autiferromagnet Cs CoCl_3" J.de Physique. 49. C81457-1459 (1988)
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[Publications] 本河光博: "繰り返しパルス磁場の発生と応用" 固体物理. 24. 329-336 (1989)