1989 Fiscal Year Annual Research Report
熱水溶液と固相間の化学反応及び同位体交換反応のカイネテックス
Project/Area Number |
63420019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大本 洋 東北大学, 理学部, 教授 (60194304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 一郎 東北大学, 名誉教授 (20004426)
青木 謙一郎 東北大学, 理学部, 教授 (00004276)
林 謙一郎 東北大学, 理学部, 助手 (40124614)
北風 嵐 東北大学, 理学部, 助手 (90035064)
塚本 勝男 東北大学, 理学部, 助手 (60125614)
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Keywords | 鉱物溶解度 / 硫酸塩鉱物 / 方解石 / 閃亜鉛鉱 / ウルツ鉱 / 黄鉄鉱 / 白鉄鉱 / 金 |
Research Abstract |
本研究の主要目的は、(イ)固体の溶解度と固相ー液相間に化学反応速度の測定のために新しい実験方法を開発し、(ロ)その方法を応用し、主要鉱物と熱水溶液の反応の基礎デ-タ(溶解度等)を求め、(ハ)さらにその資料を天然の鉱床に応用し、主要鉱床の生成プロセスを解明することである。このために本年度は次のような研究を行った。1.その場観察法による鉱物の水溶液中への溶解度及び溶解速度の測定を以下のように溶解様式の異なる4つの系で実験した。(1)主として2種のイオンとして水溶液に溶解する鉱物(石膏及び重晶石、25℃において実験)。(2)イオン及びCO_2ガスとして溶解する鉱物(方解石、20℃において実験)。(3)イオン及びH_2Sガスとして溶解する鉱物(閃亜鉛鉱及びウルツ鉱、25〜75℃で実験)。(4)固相と似た形態の水加合物として溶解する鉱物(石英、20〜75℃で実験)。これら一連の実験により、その場観察を応用する実験手法は天然に産出する主要鉱物のほとんど総てについて適用が可能であることがわかった。2.硫黄の加水分解を応用した鉱物溶解度の測定をFeS_2ーS°ーNaclーH_2O系(150〜350℃)及びAuーS°ーNaClーH_2O系(250ー350℃)で行った。鉄を含む鉱物また金の溶解度は、温度及び水溶液中のCl濃度のみならず、pH、酸素フュガシティー(fo_2)及び硫化水素ガスフュガシティ-(fH_2S)に支配される。pH、fo_2及びfH_2Sの実験条件下での制御は従来困難とされていたが、硫黄の加水反応を利用することが有効であることを明らかとし、各種鉄鉱物(黄鉄鉱、白鉄鉱、磁鉄鉱及び赤鉄鉱)及び金について350℃までの熱水条件下での溶解定数を求めることができた。今回の実験結果では鉄鉱物は従来考えられていたよりも高い溶解度を有している。また金はpHの低い条件でもH_2Sの錯体として溶存していることが確認された。
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[Publications] Ohmoto,H.,Tsukamoto,K.,Kitakaze,A.Hayashi,K.and Onuma,K.: "In situ observation of solidーfluid reactions.I.Dissolution rates solubilities of gypsum and barite in aqueous solutions at 15ー80℃." Geological Society of America 1989 Annual Meeting Absrtact with program. A102 (1989)
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[Publications] Haruna,M.,Ueno,H.and Ohmoto,H.: "Development of skarnーtype ores at the Tengumori copper deposit of the Kamaishi mine,Iwate prefecture,northeastern Japan." Mining Geology. 40. (1990)
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[Publications] Hayashi,K.,Sugaki,A.and Kitakaze,A.: "Solubility of sphalerite in aqueous slfide solutions at temperatrues between 25 and 240℃." Geochimica et Cosmochimica Acta. 54. (1990)